初めての妊婦健診について
インタビュー
妊娠・出産
初めての妊婦健診について
妊娠検査薬で陽性になった後にとるべき行動や、妊婦健診の流れについて、ワキタ産婦人科の脇田哲矢先生にお話を伺いました。
2018.5.3
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妊娠検査薬で陽性になった後の受診タイミングは?
妊娠検査薬が普及して、ご自身で調べてから産婦人科を受診される方がほとんどになりました。検査薬が陽性になったら、早めの受診をおすすめしますが、早すぎる場合もあります。最近の妊娠検査薬は精度があがっており、陽性を示すのは妊娠4週直前からです。しかし、超音波検査で妊娠が確認できるのは、妊娠5週前後です。ここに約1週間のタイムラグがあります。自分が今、妊娠4週なのか、5週なのかをご自身で判断されるのは難しいと思います。たまたま早く受診された場合には、翌週の再受診が必要になります。
一方で、遅すぎてもいけません。そもそも何のために受診するかというと、妊娠反応が陽性になった方の中には、正常でない妊娠のケースが含まれているからです。流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)です。先ほどの裏を返せば、妊娠検査薬が陽性になったら、1週間後には子宮の中に胎嚢(赤ちゃんが入る袋)が超音波検査で見えてこなければいけないのです。
結論を言えば、妊娠検査薬が陽性になってぴったり1週間が、私のすすめる受診のタイミングです。
★母子手帳をもらうタイミングは?
極端に早い人だと、妊娠検査薬で陽性になった途端、すなわち産婦人科の受診をする前から母子手帳を取得する人もいます。自治体(区役所、市役所)は、本人の申請があれば交付してくれるようです。また、小さい胎嚢が見えただけで取得をうながす病院や自治体もあります。しかし、初期には誰にでも流産の可能性はあります。母子手帳をもらってからの流産は精神的にもダメージが大きいのです。
遅すぎてもよくありません。母子手帳は記載を目的としたノートですが、別冊で妊婦健診の補助券(金券)もついてきます。額面は自治体により異なりますが、妊婦健診や検査の費用の大半を助成してくれます。初期には血液検査や子宮頸がん検診を受けなければなりません。このタイミングが遅すぎると、その後の妊娠経過に悪い影響が出ることもあります。
当院では、胎嚢の中に赤ちゃんの心拍が確認できたら(妊娠6週以降で確認ができます)、母子手帳の取得をすすめています。
妊婦健診時の3つのギモン
★適切な服装は?
妊婦健診は12週未満も12週以降も超音波検査がメインになります。
妊娠12週未満はショーツを脱いで腟内からの検査になるため、短時間で脱ぎ着できる下半身の服装と靴がよいと思います。また内診室は狭いところも多く、それも考慮するとよいでしょう。
×…きつめのデニムやストッキング、タイツ、サロペットのようなひとつなぎになったもの。ロングブーツやひも靴など。
〇…トップスとボトムが別々になった服装か、たくし上げやすいゆったりしたワンピース。靴下など。
妊娠12週以降は、ベッドに横になりお腹の上から超音波のプローブを当てての検査になるため、みぞおちから下腹部の素肌を出しやすい服装がよいですね。
★夫の立ち合いはOK?
男性が健診の立ち合いを希望されることが多くなりました。それが可能かどうかは、ドクターや各病院の考え方、診察室の設計上の制限などから、一概には言えません。
一般的には、内診室に男性が入れるケースは少ないと思います。とくに複数の内診台を置く病院では、設計上、他の患者さんとドクターの会話を守るプライバシー確保が難しいからです。当院は内診室で各患者さんのプライバシー確保ができているため、立ち合いはOKです。
★健診当日の朝食は?
病院から事前に指示がなければ、朝食はきちんと食べてから行くべきです。通常、妊婦健診は、食事制限のない状態で採血します。食事制限をする「空腹時血糖」の採血時には、事前にお知らせがあると思います。
妊婦健診の費用や、医療費控除の対象について
妊婦健診の費用は全額自己負担です。とはいえ、費用の大半は自治体が発行する補助券でまかなえますので、安心して健診を受けられます。これは政府の少子化対策による助成制度で、10年前に比べると妊婦さんを手厚くサポートする自治体が増えています。また健診中に、病気がみつかった時の治療費にも健康保険が適用となります。
補助券は母子手帳とともについてきます。自治体によって補助券の名称はさまざまで、横浜市では「妊婦健康診査費用補助券」というものです。
そして、健診費(補助券との差額分など)、入院中の食事代、交通費など、出産にかかった費用は、出産育児一時金を差し引いた金額が医療費控除の対象になります。病院の領収書や交通費を記入したメモなどはとっておき、確定申告時に医療費控除の手続きをするとよいでしょう。
★医療費控除の対象になる出産費用の詳細(国税庁)
脇田 哲矢 先生(ワキタ産婦人科 院長)
神奈川県出身。東京慈恵会医科大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部産婦人科学教室にて研鑽を積み、2002年、慶應義塾大学大学院医学研究科を満期単位取得。神奈川県大和市立病院を経て、2006年、横浜市青葉区藤が丘で、40年以上続くワキタ産婦人科の2代目院長に就く。全国的に分娩を取り扱う産婦人科が減っているなか、親子2代で出産したという家族も多い。妊婦さんとその家族の立場に寄り添った診察に定評がある。医学博士。日本産科婦人科学会認定医。
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