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受精卵の「グレード」って何?

コラム 不妊治療

受精卵の「グレード」って何?

不妊治療を始めるとよく見たり聞いたりする、受精卵のグレード。「3AB」「5AA」などの評価は一体何を基準にしているのでしょうか。さち・レディースクリニックの金田幸枝先生に詳しいお話を伺いました。

2018.5.14

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胚盤胞は発育の状態と細胞の密集度で評価




まず、受精卵の評価は初期胚と胚盤胞、それぞれ異なります。


採卵から2日~3日目の初期胚ですが、分割がきれいに、均等に分割されているか、フラグメンテーション(割球とは異なる細胞破片)がないかなど基本的には「見た目」で評価されます。


 


評価の段階は1~5で、割球の大きさが均等でフラグメンテーションがないものが1で1番評価が高く、数字が上がるほど評価が低いということになります。


胚盤胞は発育の状態と細胞の密集度で評価


初期胚からさらに分割が進み、採卵から4~6日目の胚盤胞は、発育の状態により形態的な評価をします。


1が胚盤胞腔が50%以下、


2が胚盤胞腔が50%以上、


3が完全胚盤胞、


4が拡大胚盤胞、


5がハッチング(孵化)が一部始まっている胚盤胞、


6がハッチングが完了しているものです。


6のように完全にハッチングして透明帯から脱出してしまうと、外的刺激に暴露され、悪影響を受けやすいので、通常3~5の段階で移植します。


 


評価のあと、さらにアルファベットA、B、Cで評価がされます。


最初のアルファベットが内細胞塊(将来胎児になる細胞)、次のアルファベットが栄養外胚葉(将来胎盤になる細胞)の細胞の数や密度で、Aのほうが細胞数が多く密度が高いという評価です。


 


例えば、完全胚盤胞で内細胞塊も栄養外胚葉の細胞数や密度が高ければ「3AA」ということになります。
 ただ、同じ「5AA」であったとしても5日目にこの状態であれば発育はとても良いのですが、6日目で「5AA」だと発育が遅いという意味で妊娠率は低くなり、数値だけで妊娠率に結び付けるのは大変難しいものです。年齢や採卵数など、さまざまな背景をとらえたうえで医師は移植を判断します。


胚盤胞での移植が一般的とはいえ、卵にストレスがかかることも


受精卵の移植は現在、胚盤胞まで育ててからの移植が一般的です。


それは、胚も子宮内環境も着床の準備ができていて着床しやすい時期だからです。


ただ、受精卵が良い状態で分割して初期胚になる確率は70%、さらに胚盤胞まで進むのは50%でどうしても自然淘汰されてしまいます。


また、体の外で培養することが卵にとってストレスになる可能性もあります。


施設により判断基準は異なりますが、卵の数が少ない場合やその方の背景を考えて、初期胚で移植することもあります。


 


移植胚のグレードと妊娠率の関係については、まだまだ研究段階にありますが「タイムラプス」という方法が広まってきているので、少しずつ研究成果が期待できると思います。


 


まとめ


移植胚の評価は、初期胚と胚盤胞によって異なる。移植の時期は胚盤胞移植が一般的だが、個人の背景によって初期胚で移植することも。


お話を伺った先生のご紹介

金田 幸枝 先生(さち・レディースクリニック院長)


大分医科大学卒業。社会福祉法人 賛育会病院 産婦人科医長、米ミネソタ大学 医学部産婦人科 客員講師、帝京大学医学部 産婦人科助手などを経て、平成12年5月 千葉県船橋市に「さちレディースクリニック」を開設。プライベートでは、15歳になるシーズー犬のお散歩が日課。

≫ さち・レディースクリニック

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