妊娠中のママの体重管理は、赤ちゃんの未来の成人病予防になる!
コラム 妊娠・出産
妊娠中のママの体重管理は、赤ちゃんの未来の成人病予防になる!
妊娠中の体重をコントロールする目的や重要性にはどんな根拠があるのでしょうか。お腹の赤ちゃんとともに心身を快適に過ごす工夫を、ごきそレディスクリニックの小川麻子先生にお話を伺いました。
"小さく産んで大きく育てる"は、ひと昔前の考え方
妊娠中の低体重は、子供の生活習慣病のもとになる!?
「成人病胎児期発祥説」とは、成人病や生活習慣病の起源は胎児期の低酸素・低栄養状態にあると考えられる説で、"バーカー説"とも呼ばれています。
これは、母子の健康状態や栄養状況が現代と比べて劣っていた1920~30年代に産まれたヨーロッパ人の出生体重と疾病リスクの関係について行った調査で、特に非常な飢餓状態にあった地域で産まれた子供のほぼ全員が、大人になって生活習慣病を発症しているという疫学的データを発表したものです。
つまり、妊娠時に母親が十分な栄養や食事を摂取できず、子宮内胎児発育遅延(IUGR)の状態、あるいは低出生体重で産まれた子供は、成長後の高血圧や動脈硬化、糖尿病などの成人病あるいは生活習慣病のリスクが高いという結果で、このデータはその後の多くの大規模研究によっても立証されました。
日本でいえば、ちょうど敗戦直後に産まれた人たちが成人した後の、高度経済成長時代から成人病率が高まったことからもバーカー説の正しさがうかがえます。
現代は、妊娠中に食べないことの方が大きな問題
妊娠前のBMIを基準にした体重コントロールを
好きなものを食べ過ぎないようバランスよく、が大事
小川先生より まとめ
妊娠中の体重管理は、妊娠前のBMI値に基づく個人差に応じたコントロールが大切。特にやせ型の人は、子宮内胎児発育遅延(IUGR)や低出生体重による「成人病胎児期発祥説」も懸念し、必要な栄養やカロリーをきちんと摂取することが重要です。妊娠中の体重管理の目的が"赤ちゃんのため"であることを忘れず、好きなものだけを食べ過ぎないようにしつつバランスよく食べることで、過剰な我慢も食欲もセーブできるのではないでしょうか。