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立ち止まってしまった時、不安な時、背中を押してほしい時に聴きたい 勇気をくれる音楽

コラム くらし

立ち止まってしまった時、不安な時、背中を押してほしい時に聴きたい 勇気をくれる音楽

嬉しい時、悲しい時、苦しい時、流れてきた曲に涙を流し、元気をもらい。気持ちや行動を変えるという音楽の効果とは?

2018.5.19

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嬉しい時、悲しい時、苦しい時、流れてきた曲に涙を流したり、元気をもらった経験は誰にでもあると思います。音楽は不思議と言葉よりスッと体の中に入り込んで、心を揺さぶります。気持ちが変化するだけでなく、行動まで変えるという音楽の効果について、音環境コンサルタントの齋藤寛さんにお聞きしました。




※2018年5月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.38 2018 summer」の記事です。


「感情」が「行動」をコントロールしている


皆さんは夢や目標をおもちだと思います。夢や目標をかなえるには「行動力」が必要です。しかし、最初は目標に向かって行動していても、だんだんとペースが落ちてきたり、動かなくなってしまうことがあります。なぜそうなるのでしょうか。それは、動作、知覚、記憶、学習、意思決定など、人間のほとんどの行動に「感情」がかかわっているからです。たとえばつらいこと、悲しいことがあったりすると、感情が影響し、これまでと同じように行動することが難しくなってしまいます。
感情をつかさどっているのは脳です。脳がいい気持ちになれば快の感情、いやな気持ちになれば不快の感情が生まれます。だから、いつも脳の状態を健康に保っておくのは大切なこと。そこで、脳の健康のために取り入れたいのが音楽です。聴覚からの刺激は、直接感情に働きかけることがわかっています。



 



音楽によって分泌された脳内ホルモンが感情を動かす


音楽と感情の関係は、これまでの実験では主に口頭質問による被検者の主観的な意見が採用されていましたが、近年の研究では中身が変わりました。音楽による感情の変化やストレスの軽減は、ホルモンの分泌による生理現象ととらえることができるようになったのです。
喜びや怒りなどの感情や、生きていくための食べる、寝る、逃げる、性行為をするなどの行動を支配しているのは、脳の大脳辺縁系というところです。ここから脳内麻薬物質といわれるドーパミンやβエンドルフィンなどのホルモンが分泌されています。性行為や睡眠の多幸感はこの脳内麻薬物質によるものです。これらのホルモンが感情をコントロールし、行動を決定することになります。
音楽を聴いて気持ちよくなるのはドーパミンやβエンドルフィンといった快楽ホルモンが分泌されるからです。大脳辺縁系で処理されるということは、音楽を聴くことが性行為や食事といった生きるうえで極めて大切なことと同じである、ということを意味しています。
また、音楽を聴くことでストレスホルモンであるコルチゾルが低下することもわかっています。ストレスを抱えている時でも、音楽がマイナスからゼロ方向へ感情を戻してくれます。


音楽の効果を最大限に引き出すには


音楽の力で感情を浄化したり、前向きな気持ちへ変えたりするのに有効な方法は、落ち込んでいる時と明るく前向きな時で聴く音楽を変えることです。当たり前のことのようですが、ちょっと意識するだけで、より音楽のもつパワーを取り入れることができます。
落ち込んでいる時に明るい曲を聴いても精神的には癒やされません。まずは自分の気持ちを代弁してくれるような音楽を選ぶこと。そうすると「わかってもらった」という安心感が生まれます。これは「同質の原理」といわれるもので、音楽療法の現場でも使われています。気持ちが落ち着いてきたら、徐々に明るい音楽に変えていきます。今度は音楽に引っ張られる形で、自分の気持ちも前向きになっていきます。
私たちの行動を意思決定するのは感情です。そして感情を生み出すうえで、音楽はとても大きな役割をします。やる気が出ない時に音楽を聴けば、快感ホルモンが分泌されて脳を前向きにしてくれます。脳は好きな音楽を聴くと、行動力を高めてくれるように機能しているのです。夢や目標の実現に近づくために、音楽を積極的に日々の生活に取り入れていただければと思います。


お話を伺った先生のご紹介

齋藤 寛さん(監修・音環境コンサルタント


フェルモンド代表。音楽心理カウンセラー。新潟大学教育学部芸術科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情に及ぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、医療学会での講演、ラジオ・テレビの出演や、雑誌掲載など幅広く活躍中。著書に『心を動かす音の心理学』がある。

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