葉酸、L-カルニチン、アルギニン、亜鉛 ドクターおすすめの栄養素とは?
コラム 不妊治療
葉酸、L-カルニチン、アルギニン、亜鉛 ドクターおすすめの栄養素とは?
妊娠の近道は、食生活を見直し、不足している栄養素を効率的に補うことが大切。奥先生に、おすすめの栄養素を教えて頂きました。
妊娠への近道は、食事による健康な体づくり。まずは、ふだんの食生活を見直し、不足している栄養素を効率的に補っていくことが大切です。レディースクリニック北浜の奥裕嗣先生に、おすすめの栄養素を教えていただきました。
※2018年5月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.38 2018 summer」の記事です。
POINT
●シンプルな調理法と摂取法で長く続ける
●食事で足りない栄養素はサプリで補って
栄養不足は貧血、冷え性の原因に。妊娠力の低下にもつながります
妊娠力を高めるためには、健康な体づくりが大切です。皆さんのふだんの食事はどうでしょうか? 最近は、仕事などで多忙な女性も多く、外食やインスタント食品、冷凍食品を多用することで食生活が乱れたり、ダイエットによる栄養不足で貧血や冷え性に悩んでいる人も多いようです。このような状態は妊娠力を低下させてしまいます。
人の体は食べるものでつくられ、日々修復しています。さらに、妊娠後は赤ちゃんの成長のためにも栄養バランスの取れた食事が欠かせません。カロリーはしっかり摂れていても、必要な栄養素が不足していることもあります。まずは、自分の食生活を見直し、不足している栄養素を補うことから始めてみませんか。
ただし、さまざまな栄養素のなかでも、医学、栄養学の根拠にしっかり基づいた栄養素を摂取することが大切です。また、シンプルで実践しやすい調理法や摂取法を取り入れることが、長く続けるための秘訣。食事だけで不足する栄養素は、サプリメントを併用して効率的に補うといいでしょう。
先天性異常を予防する葉酸。妊娠前からしっかり摂りましょう
【葉酸】は、妊娠初期の体づくりに大切で、母子健康手帳にも書かれているように妊娠を望む人に国が推奨している栄養素です。神経系先天性異常(無脳症、神経管閉鎖障害、脳瘤)をはじめ、妊娠高血圧症、胎盤早期剝離の予防、またビタミンB 12を含む食品と一緒に摂ることで貧血の予防にもなり、神経系先天性異常の予防には、少なくとも妊娠の1カ月前から妊娠3カ月まで摂取することが理想です。摂取量の目安は1日400~800μgとされていますが、日本女性が実際に摂取しているのは200~300μg程度。ふだんの食事で圧倒的に不足していることがわかります。
ほうれん草、アスバラガス、ブロッコリー、うなぎ、納豆、レバー、イチゴ、マンゴーなど、緑黄色野菜や果物、大豆、動物性の食品に多く含まれていますが、熱に弱く水に溶けやすい性質があるため、水に長時間つけおきしたり、加熱しすぎないのがポイント。水分に溶け出した葉酸も一緒に摂れるスープや味噌汁がおすすめです。
卵子の質を上げるLーカルニチン。とくに30歳以上の人に効果的
【L―カルニチン】は肝臓で合成されるアミノ酸の一種で、羊肉(マトン、ラム)、牛肉などの赤身肉のほか、赤貝などにも多く含まれています。細胞内のミトコンドリアのエネルギー産生をうながし、体内の活性化に欠かせない栄養素として妊娠とのかかわりが深く、近年、男性では精子の運動性が向上、女性では卵子の質が向上するという報告もあります。また、体内の脂肪や糖を燃焼させる働きもあり、ダイエットやアンチエイジング効果でも注目されています。L―カルニチンは、20代までは体内で生成されますが、年齢とともに合成できる量が減少していくといわれています。そのため30歳以上の人は積極的に摂取したい栄養素です。
男性の妊娠力アップにはアルギニンと亜鉛を摂取
【アルギニン】は、肉類、ナッツ類、大豆、玄米、卵、マグロ、エビなどに多く含まれ、天然に存在するアミノ酸の一種といわれています。成長ホルモンの分泌をうながし、筋肉を増強するほか、病気への抵抗力を高めて、傷を早く治す効果があります。また、女性では血流を改善して子宮内膜を厚くしたり、男性ではEDの改善や精子の数や運動率を改善する効果で注目されています。
また、最近、「疲れやすい」「精力が衰えた」「抜け毛が多い」「立ちくらみが起きやすい」「食べ物の味がわかりにくい」…。こんな症状が当てはまったら、亜鉛不足かもしれません。加工食品を多く摂取する現代の食生活では、亜鉛不足になるケースが増えています。
【亜鉛】は、カキやホタテなどの魚介類や肉類に含まれ、たんぱく質の合成や骨の発育に欠かせない必須のミネラルです。不足すると味覚障害、発育不全などを引き起こすといわれています。また、別名「セックスミネラル」とも呼ばれ、特に男性は精子をつくるために必要な栄養素です。不足すると精子の数や運動率が低下するといわれ、女性も不足すると生理不順になりやすくなります。
【レシピ】葉酸を手軽に摂取できる!厚揚げとほうれん草の炒め物
【材料】
ほうれん草…50g
厚揚げ…40g
シラス(ちりめんじゃこ)…5g
めんつゆ(ストレートタイプ)…小さじ1
ごま油…小さじ1/2
【作り方】
①熱湯で油抜きした厚揚げは1㎝幅、ほうれん草は4㎝の長さに切る。
②熱したフライパンに、ごま油と①を入れて炒める。
③火が通ったら、めんつゆを入れて炒める。
④器に盛ってシラスを散らせば出来上がり。