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何度やっても妊娠しない…?! セントマザー産婦人科医院の田中先生がお答えしました!

コラム 不妊治療

何度やっても妊娠しない…?! セントマザー産婦人科医院の田中先生がお答えしました!

体外受精を何度も失敗し、今後の治療を迷われている方へ、治療方法の見直しや新しい選択のポイントを田中先生にお聞きしました。

2018.5.24

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体外受精を何度繰り返しても失敗し、今後の治療を迷われている方へ、
治療方法の見直しや新しい選択のポイントをセントマザー産婦人科医院の田中温先生にお聞きしました。




※2018年5月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.38 2018 summer」の記事です。


 


 





hanaさん(専業主婦/33歳)


結婚7年目、不妊治療歴4年。このたび5回目の顕微授精にも失敗し、もう今後どうしたらいいのかわかりません。






まるさん(主婦/33歳)


一度も着床しない私が妊娠できるんでしょうか? 不妊治療歴3年。タイミング療法、人工授精6回、体外受精、胚盤胞移植4回。すべてかすりもしない陰性……。原因不明の不妊で、このまま妊娠できないんじゃないか? と絶望的です。






POINT


体外受精が成功しないのは胚側なのか子宮側なのか、原因を絞り込めるため、当院では、移植する受精卵のグレードの基準を3AB以上とあえて厳しくしています。




お話を伺った先生のご紹介

田中 温 先生(セントマザー産婦人科医院)


順天堂大学医学部卒業。越谷市立病院産科医長時代、診療後ならという条件付きで不妊治療の研究を許される。度重なる研究と実験は毎日深夜にまで及び、1985年、ついに日本初のギフト法による男児が誕生。1990年、セントマザー産婦人科医院開院。日本受精着床学会副理事長。順天堂大学医学部客員教授。

≫ セントマザー産婦人科医院

できるだけ原因を明らかにして的確なステップアップを目標に


妊娠するためには着床しなければなりませんが、妊娠しても流産してしまう場合もあります。どんなにグレードのよい胚盤胞を移植しても結果が出ない。患者さんにとってはとてもつらいことですし、それを何度も繰り返すと我々も「なぜこの条件で着床しないんだ」と肩を落とすことがあります。
体外受精における胚盤胞のグレードは「ガードナー分類」に基づいています。体外受精ではたいてい5日目の胚盤胞を子宮へ移植しますが、この胚盤胞の質はガードナー分類1から5までのグレード中、3BB以上が好ましいとされていて、たとえば3BB以上のグレードの胚盤胞を移植して3回続いて着床できなければ反復着床不全(RIF)と定義されます。着床しない原因は主に2つあり、受け皿である子宮側と着床する胚の質。この両方の条件がそろわなければ、残念ながら着床は難しいといえるでしょう。
しかし、ガードナー分類では3BB以上といいますが、着床率は50%に満たないため、当院では3AB以上とさらに厳しくしています。このグレードなら着床率は高くなります。3ABもしくは3AA以上の胚盤胞を3回以上移植しても着床しなければ、この段階で初めて受け皿である子宮側に問題があると言えるのです。
体外受精を何度試みても成功しないのは卵子側なのか子宮側なのか。原因を半分に絞り込めれば次の治療方針、ステップアップを的確に選びやすくなりますから、あえてグレードを厳しくするというのが当院の考えです。



 



子宮内に存在する細菌が着床不全の原因となることが判明


また、近年は慢性子宮内膜炎が注目され始めています。子宮内は赤ちゃんが宿る場所だから炎症のない、無菌でクリーンな環境だと言われていましたが、次世代シーケンサー(NGS)という遺伝子解析検査の登場により、子宮内にも悪玉菌が存在していることが判明しました。善玉菌の大半を占めているのは乳酸菌ですが、半分もしくは3割ほどまでに減っている、悪玉菌の大腸菌や腟ガルドネラ菌などが増えているなど子宮内細菌の環境の乱れが着床不全の原因になっている、ということです。今までは何が原因かわからないと言われていたもののなかに、このような事実が出てきたことで、治療方針を決めやすくなったということは大きな前進です。この条件でなぜ着床できないのか。それが何度も繰り返される場合は、積極的に検査をしてみる価値があるといえるでしょう。


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