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<妊活知識>高齢不妊ってどんな状態? 原因と治療を知りたい!

まとめ 不妊治療

<妊活知識>高齢不妊ってどんな状態? 原因と治療を知りたい!

不妊治療の成功率が下がる「高齢不妊」とは何を指すのか、そして不妊治療に臨むためのポイントについての知識をまとめました。

2018.6.7

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高齢出産という言葉はよく聞くけれど、「高齢不妊」は不妊でクリニックを受診してはじめて知ったという人も多いようです。妊活をスタートすると、現代の日本社会での「高齢」と、産婦人科での「高齢」との意味の違いにびっくりすることも珍しくはありません。


 


高齢不妊とはどんな状態なのか、なぜ起こるのか、そしてどんな治療の選択肢があるのかを知っておくことで、より積極的な姿勢で不妊治療に取り組めるよう準備しませんか? 


気づけば対象? 高齢不妊はいつからで、どう違う?


不妊の原因には病気や体質などがあるといわれています。クリニックで検査を受けることで、どの要因が不妊を引き起こしているのかを知ることができます。


そのなかで、高齢不妊と診断された場合には、体にどんなことが起こっているのでしょうか。


“女性のライフスタイルや人生設計が変わり、結婚適齢期がなくなっても、「妊娠適齢期」や「分娩適齢期」には、まったく変化がありません。平均寿命に関係なく、女性の生殖年齢は大昔からまったく変わっていないのです。


たとえば、生理があるうちは妊娠できると思っている人がとても多いのですが、とんでもない勘違いです。だいたい閉経の10年前から妊娠できなくなります。排卵がなくなった後も、卵の周囲の細胞が10年ほどホルモンをつくり続けるので、それで生理があるだけです。


 


肝心の健全な卵はなくなっているので、妊娠には至りません。だいたい51~52歳で閉経しますから、41~42歳が妊娠の限界です。もちろん、閉経も人によって10年ほどの幅があるので、妊娠可能の上限にも幅があります。それでも、35~45歳くらいの間に、健全な卵としての消費期限というか、限界が訪れます。”


 


高齢不妊は病気や体質ではなく、体が自然におちいっていく状態といえるようです。個人としての人間の寿命がこれだけ長くなった現代でも、卵子の数や寿命はコントロールできないのが現状なのですね。



"皆様のお腹の中に、まだ卵子が残ってさえいれば、あとは医学の力で何とかできます。精子がどうであれ、子宮や卵管に問題があれ、ほとんどのことがクリアできます。"


高齢不妊|不妊の原因



卵巣年齢や卵子の質を表す指標とは


次に、高齢不妊を客観的に知るための指標について知識をつけておきたいですね。


 


“先日から病院で検査を受けていますが、生理6日目の採血で卵胞刺激ホルモン(FSH)の値が11.2と、年齢の割に高すぎると言われ、その治療法がないとのこと。さらに、血中エストラジオール(E2)値が132と低く、排卵はしているが卵子の質はよくないと言われました。”


“FSH値が高い(卵巣の老化)ことと、E2値が低い(卵子の質の低下)ことに相関関係はありますか。


 


奥先生:FSHが高いから、もしくはAMH値が低値だからといって、卵子の質が悪くなることはありません。


そもそも卵子の老化とは、卵子の染色体異常の割合を指します。AMH値は、体外受精の時の採卵数や閉経年齢などを知るための指標です。AMH値が極端に低くても、自然妊娠する方はたくさんいます。FSHが高いから、AMH値が低いから、タイミング療法や人工授精の妊娠率が下がるというわけではありません。 ちなみに染色体異常は、20歳代で約40%、30歳代で約50?60%、35歳で約70%、40歳代で約80%以上の確率といわれ、年齢に比例して増加します。27歳のこの方は、仮に受精卵に染色体異常があったとしても約40%ですので、AMHが低い場合は体外受精の場合の確率は通常の20代の50%から25%と低くなるかもしれませんが、基本的に良好な受精卵が1個あればいいので、それなりの成績は出ます。もちろん、自然妊娠したとしても不思議ではありません。


ただ問題なのは、卵巣年齢が高い方は、卵巣の老化が加速度的に進むということです。そうすると、治療する期間が限られてきますので、まさに時間との戦いになります。通常、27歳の方なら、少なくとも10年くらいは治療期間があると考えられますが、卵巣年齢が高いと、その期間は短くなります。ですから、少しでも妊娠の確率が高いうちに、ステップアップを検討するなど、治療スピードの考慮が重要になります。”


 


“卵巣の老化に対する治療は難しく、前述のステップアップを検討します。通常、20代の方では、タイミング療法を半年してみてだめなら、人工授精を半年行うといった方法が一般的ですが、卵巣年齢が高い方は、程度に応じて、タイミング療法の期間を短くして人工授精に進んだり、もしくはタイミング療法はせずに、人工授精から始める場合もあります。さらに、患者さんの年齢が高い場合は、最初から体外受精に進むこともあります。”



"卵巣年齢をより正確に知るためには、抗ミュラー管ホルモン(AMH)と月経中の超音波の検査で、胞状卵胞の数を測るのが一番だと思います。FSHだけではわかりにくい体外受精時の採卵数や閉経年齢など、卵巣年齢が手にとるようにわかりますから。"


卵巣老化と卵子の質の低下で治療法がない それでも妊娠できますか?



「卵子の老化」で具体的にはどうなるの?


最初の段落では、『健全な卵子の消費期限が近づいている』という表現で高齢不妊の内容をご紹介しました。卵巣の老化や卵子数減少と同時に気になるのは、卵子の老化ですね。


これについてわかりやすく解説しているコラムを見てみましょう。


 


“年齢からくる卵子の老化ということですが、老化するとどのような状態になってしまうのでしょうか。


 


京野先生:本来卵子が持つべき働きやシステムが低下していきます。たとえば、細胞の中にある細胞小器官の一種であるミトコンドリア。これは生命活動に必要なエネルギーを取り出す役目を担っており、受精卵のミトコンドリアは卵子のものだけが受け継がれます。高齢になると、このミトコンドリアが均等に分散せず、局所的に集まってしまうという異常を起こすようになるんですね。また、正常な状態なら、卵子と精子が受精するとカルシウムが頻繁に放出されるのですが、その振幅も小さくなり、ポツンポツンとしか出てこなくなってしまう。染色体が分かれるシステムもうまくいかなくなり、「染色体の不分離」といって、染色体が均等に分離しなくなってきます。受精をして見た目には非常にきれいな受精卵ができたとしても、それが質のいいものだとは断定できません。受精したかどうかが重要ではなくて、その後の胚発生の状態が大事。目に見えないところ、つまり染色体などに異常があれば胚は正常に成長していきませんし、子宮に戻したとしても流産になってしまうことが多いんですね。”


 


年齢が上がると高度不妊治療でも成功率が下がるのには、こうした理由があったのですね。


 


“ということは、高齢になると残っている卵子すべてが老化してて、妊娠につながる質のいい卵子はないということになりますか?


 


京野先生:すべてとは言いきれません。まれなケースですが、45歳以上でも妊娠・出産される方もいるので、その時はたまたま質のいい卵子が出てきたということですね。個人差はありますが、なかには45歳でも卵子が10個以上採れる人もいます。しかし、いい卵子が出てくる確率が加齢とともにどんどん低くなっていくということは事実です。 通常、卵胞の数は50歳で0、45歳だと1000個くらい残っているといわれています。1回の排卵で500個くらいなくなることもあるので、チャンスはかなり少ないといえるでしょう。アメリカの大学での研究によると、「45歳以上で妊娠した人は、卵子が5個以上採れた人に限られる」というデータが出ています。高齢の方でもある程度卵子の数が採れれば、その中に質のいいものがある可能性を望めるかもしれません。”




"ゼロではありませんが、治療をしても妊娠する可能性は極めて低い。その現実を踏まえたうえで、治療を続けるか、やめるか、もしくは卵子提供という形を選択するか、ご夫婦でよく相談してお決めいただきたいと思います。"


45歳での妊娠は無理?もう治療を諦めるべきでしょうか



高齢不妊と向き合い、治療を受けるためには


不妊検査の結果から高齢不妊の状態がわかって不妊治療をスタートする際には、いくつかポイントがあるようです。


 


“40代の方が不妊治療を始める前に、まず大切なことは、治療をどこまで、何歳ぐらいまでしたいかということを、ご主人としっかりと話し合っておくことだと思います。たとえば30代前半の方のように、検査を受けて、様子を見ながら段階を追ってステップアップするというように、のんびり構えて治療をすると、いざ体外受精という時には、ほとんど妊娠率が出ないという可能性があります。”


“また、女性ほどではないですが、男性側の年齢も高くなるほど、妊娠率が低くなるというデータもあります。


そして、40 代で無事妊娠して子どもを産んだとして、その子が成人式の時に自分たちが何歳になっているのかということも、よく考える必要はあるでしょう。


要するに、40代の不妊治療にはあまり時間的な余裕はありません。治療の内容と年齢的なリミッ トをある程度決めてから不妊治療を始めることは、望む結果を叶えることはもちろん、その後の人生設計においても重要です。”


 


“基本的に38歳くらいを過ぎると妊娠率は急激に下がってきます。体外受精でも40歳で10 %ちょっと、2年くらい経つと5%、43歳以上では1~2%の妊娠率になるといわれています。ですから、一般不妊治療であまり時間を費やすと、いざ体外受精をという時には確率が悪くなってしまっているという話にならざるを得ません。


ただ、もちろん個人差はあります。暦の年齢と卵巣の年齢、卵子の年齢は必ずしも一致するわけではありませんし、たとえ43歳以上 でも妊娠しないとはいい切れません。実際、当院でも出産まで至った最高年齢は45歳です。”


 


“40代になると卵子の異常が増え、卵巣の反応性も悪くなります。特に一般の不妊治療では、排卵をさせることはできても、卵子の質がいいかどうかはわかりません。いいだろうという想定のもとで治療をしていくのですが、20代でも3割くらいの卵子に異常があるものです。40歳になると受精卵の8割くらいに異常が存在するというデータもあります。たとえば10個受精卵があってもまともな卵は2個ないかも、ということです。


そういう意味でも、40代の方の治療は一般的に時間がかかってしまうものですが、これも個人差があり、最初から意外といい卵子ばかり出てくるという方もいます。そういう場合は早く結果が出ますね。”


 


そうなると、高齢での不妊治療イコール体外受精というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、一概にそうも言えないようです。


 


“体外受精をすれば受精卵にする段階で、卵子の質を見極めることはできます。しかし、体外受精だから確実だということはありません。


もちろん、最初からある程度の治療は覚悟していたほうが、確率は高いといわざるを得ませんが、若い方でもあまり刺激ばかりするといい受精卵ができない場合がありますし、ある程度までやって逆効果であれば、治療を軽くしましょうということもあります。特に高齢になれば力ずくばかりではなく、卵巣の調子を見ながら緩急織り交ぜて治療をするのも大切なことです。”



"どこまでいっても可能性は0とはいい切れません。確率は低いですね、難しいですねという話はしますが、確率が0でない限り は、なんとか頑張ってみたいという患者さんの気持ちに寄り添って、当院でもできる限りのことはしたいと思っています。"


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いかがでしたか? 年齢によっては、まずは少しでも早くクリニックで相談することが妊娠につながりやすいということですね。



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