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空胞が続き、採卵できても受精しません

専門医Q&A 不妊治療

空胞が続き、採卵できても受精しません

空胞の理由、空胞が続く場合の治療方法について、 芝公園かみやまクリニック 神山先生にお話を伺いました。

2018.6.8

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相談者:とたさん(33歳)





チョコレート嚢胞で右卵巣を手術し、AMHが低く(0.14以下)左卵巣にも再発の恐れがあるため、4ヶ月前から体外受精の不妊治療を始めましたが、空胞が続き、採卵できても未成熟で顕微授精でも受精しません。














●一周期目は術後2ヶ月で生理が復活したばかりということもあり、ソフィアで生理周期を整えたあと点鼻のブセレキュアを1セット、自然周期で採卵しましたが空胞でした。

●ニ周期目はソフィアを飲み、血液検査の結果が良くなかったので注射を2回打ちました。ブセレキュアを2セット点鼻し、卵胞は2つできましたがいずれも空胞でした。

●三周期目は強めのピルで調整後、自然周期で卵胞が2つ出来、ブセレキュアを2セット。採卵しましたがいずれも空胞。

●四周期目はピルを飲まず、生理3日目からレプロゾール(※)を5日間服用。卵胞一個のみ。採卵前日でE2が312.8、LH*2が306.8、FSHが106.3でした。

●今回は採卵できましたが、あと5時間くらいで成熟だったくらいの未成熟卵で、培養で成熟したものの、顕微授精に失敗しました。


















いずれの場合も、主治医いわく「血液検査の値は良好で、卵胞も採卵2日前で18-20mmくらいの大きさもあり、なぜこれでうまくいかないのかわからない」と言っていました。

夫に問題はありません。



空胞が続き、ようやく取れても受精しない状況です。
















この場合、どのような治療をするべきなのでしょうか?

病院の方針としては、このまま自然周期か薬で少し刺激して、自然に卵子が出て来るのを待ちつつ気長にやるしかないとのことだったのですが、その方針が正しいのでしょうか。
高刺激の方法は低AMHの私では難しいですか?

空胞が多いので、一気にたくさん卵胞があったほうが確率が上がるのではと素人では考えてしまいます。

転院など考えたほうがいいのか含め、アドバイスいただければと思います。
よろしくお願いします。








※とたさんのLH数値、FSHの数値が間違っている可能性があります

※×レプロゾール→〇レトロゾール




 


低AMHで自然周期で治療を続けることについて




33歳でAMHが0.14という数値は早発閉経に近い数値だと思います。


 


とたさんの場合、もともと早発閉経の兆候があり、その後チョコレート嚢胞になったのか、もしくはチョコレート嚢胞の手術が少し影響しているのか、定かではありませんが、現段階では月経周期が自然に起きていないため、ホルモンをコントロールしながら治療されているのだと予測されます。


1つ採卵できたけど、失敗に終わってしまったこともあったようですが、たとえ病気のない方が10個採卵できたとしても、染色体異常などで淘汰されますし、受精卵が良好胚盤胞まで育つのはほんの2,3個の場合もあります。


それを考えると1個の採卵で無事妊娠し、さらに出産できるの、かなり低い確率と思われます。


とたさんの場合は、あきらめずに治療を繰り返すということがカギになると思います。


高刺激の治療は低AMHの人でも可能なのですか?


「連日注射をして排卵誘発を行う高刺激の方法の方が、自分には向いているのでは?」というご質問ですが、これはもともとの原始卵胞が少なくなってしまった、低AMHの方にとっては向いていません。


通院頻度が多くなり注射もしなければなりません、また出費もかさむ方法です。


その割には複数の卵を確保できる可能性は低いと思われます。


 


従って基本的には今の治療を継続されることをおすすめします。


空胞が多いということですが、これは通常自然消滅する卵胞が消滅できずに遺残卵胞として残る場合などに起こります。


AMHが低く、卵巣機能をコントロールしているホルモンがうまく分泌されない場合に起こりやすくなります


同じような数値で妊娠した症例は?


当院に通われていた方で、30代前半、同じように低AMHの方がいました。


その方は自然な生理周期を整えるカウフマン療法にクロミッドによる排卵誘発を併用して、卵胞が1つ育ってきました。採卵後、子宮内膜を調整するため一度卵子を凍結して、その後めでたく妊娠、出産された方がいます。


その方は、約1年間辛抱強く通院されて、妊娠に至りました。


 


とたさんの場合もやはり服薬を中心とした自然周期または低刺激周期で卵胞の発育を待つのが良いでしょう。


また低AMHの方のひとつの方法として、卵胞の発育が見られる間に採卵することを最優先し、胚を複数、凍結しておいてから順番に移植をするという方法もありますので主治医の先生に相談してみても良いかもしれません。


 


●●●まとめ


総合的な詳しい数値が必要ですが、一般的に低AMHの場合、自然周期あるいは低刺激法でで治療するのがおすすめ。補足ですが、チョコレート嚢胞の場合は、必ずしも手術する必要はなく、採卵することに問題がない位置に嚢腫がある場合、嚢腫の大きさが4㎝以下であれば不妊治療を優先する場合もあります。


お話を伺った先生のご紹介

院長 神山 洋先生


昭和大学医学部卒業。アメリカ ニュージャージー州で体外受精の研修を受け、虎の門病院産婦人科医員 不妊外来担当を経て、平成17年、東京都港区に「芝公園かみやまクリニック」を開院。日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本生殖医学会 生殖医療専門医、日本東洋医学会 漢方専門医。クリニックは都心でありながらも静かな場所にあり、院内も綺麗で落ち着いた雰囲気。

≫ 芝公園かみやまクリニック

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