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無痛分娩をもっと知りたい。 メリット・デメリットとは?

インタビュー 妊娠・出産

無痛分娩をもっと知りたい。 メリット・デメリットとは?

お産の選択肢のひとつとして話題の無痛分娩。その特徴やデメリットなどを、あさもとクリニック産婦人科院長の朝元健次先生にお聞きしました。

2018.6.13

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無痛分娩=痛くないお産、ではない!?




最近、注目度の高い「無痛分娩」。


実際にはどんなものかというと、多くの施設で行われるのは硬膜外(こうまくがい)麻酔(ますい)といって、脊椎の硬膜外というところに薬を入れて行う局所麻酔の一種です。


 


 


麻酔によって、陣痛による子宮の収縮を弱め、陣痛を和らげるのが大きな目的のひとつですが、実は、完全に陣痛がなくなるわけではありません。


正確な言葉にするならば、和痛や減痛分娩といった方が近いかもしれません。


というのも、まったく陣痛がなくなってしまうとお母さん自身のいきみがなくなり、分娩が進まなくなってしまうからです。


 


完全な無痛状態では赤ちゃんを産むことは不可能なのです。


そのため、無痛分娩では陣痛を自然分娩状態の半分から3割くらいに抑えます。


ある程度の陣痛を残して、母児ともに無理のない、いいお産をしようというのが無痛分娩なのです。


高齢出産の人ほど無痛分娩に向いている!?


無痛分娩の大きなメリットは、なんといっても痛みを和らげること。


それによって余分な力が抜け、その作用で骨盤筋の弛緩が得られて分娩の進行がスムーズになります。


また、分娩後に疲れが残りにくく、心身両面での回復も早くなるといわれます。


 


 


さらに、麻酔の副効果によって血圧が下がり、産道が柔らかくなります。


もともと血圧の高い人はもちろんのこと、特に、産道が硬くなって出産しづらくなっていたり、高血圧になりがちな35歳以上の高齢出産の人にはメリットが多いといえます。


体質的に、腰椎椎間板ヘルニアを患っている人や、肥満によって硬膜外麻酔が物理的に難しい場合などを除き、無痛分娩は多くの人が選択可能な出産方法です。


無痛分娩にもデメリットがあることを知ろう


では、無痛分娩にはデメリットや副作用がまったくないかといえば、そうではありません。


 


 


無痛分娩で陣痛が弱まりすぎて、あまりに分娩が進まない場合には陣痛促進剤を併用します。


逆にそういった薬を使うことで、陣痛が強くなりすぎてしまうケースもありますし、薬の副作用やアレルギーがまったくないとも言い切れません。


心配な方は事前に医師とよく相談することをおすすめします。


また、全国的には現在、無痛分娩による帝王切開率は増えないといわれていますが、鉗子(かんし)分娩や吸引分娩は明らかに増えています。


鉗子分娩や吸引分娩とは、うまく産道を下りてこられなくなった赤ちゃんを、鉗子や吸引器によって誘導する方法です。


 


 


通常の自然分娩での鉗子分娩や吸引分娩の割合が約2~3%であるのに比べ、無痛分娩での率は20%くらいといわれています。これは、無痛分娩による陣痛時のいきみの減弱によって起こると考えられます。


麻酔の専門的管理に慣れた施設を選ぼう


無痛分娩は、基本的に麻酔治療ですから、麻酔の専門的な知識や管理ができる施設を選ぶことが重要です。


麻酔管理をする専門医がいる、さらに助産師も含めスタッフ全員が産科麻酔の管理に慣れていることは、安心・安全な無痛分娩をするためにぜひ、施設選択の基準としてチェックしたいところです。


 


 


無痛分娩は、欧米諸国では何十年も前からすでに行われている手技ですが、日本では「お産は痛みを乗り越えてこそ」といった痛みを美徳とする伝統的な考え方もあり、未だメジャーな出産方法とはいえません。


確かに、出産には痛みがともないますし、陣痛がないと赤ちゃんは産まれませんから、痛みに対するある程度の覚悟は必要です。


しかし、痛みは恐怖によって倍増します。


また、とにかく痛いのが嫌だから麻酔をしたいという感覚では、無痛分娩の効果が薄いというか満足度は低いかもしれません。


 


 


まずはお産というものを理解し、麻酔をすることのデメリットもよく知ることが大切です。その上で無痛分娩を選ぶのは、医学的にも大いに賛成したいことです。


 


 


●●●まとめ


 


 


無痛分娩とは、局所麻酔によって陣痛を半分から3割程度に減弱する出産方法です。


痛みが和らぐことで骨盤筋が弛緩して分娩の進行がスムーズになり、分娩後の心身両面の回復も早くなります。


また、麻酔の副効果で血圧が下がり、産道が柔らかくなるため、35歳以上の高齢出産には特にメリット大。


ただし、鉗子分娩や吸引分娩になる率が高いのも事実です。お産に対する正しい知識を持ち、専門的な麻酔管理ができる施設を選ぶことが大切です。


お話を伺った先生のご紹介

朝元健次先生


藤田保健衛生大学医学部卒業。名古屋市立大学、更生病院、名古屋第二赤十字病院にて麻酔・集中治療部勤務。名古屋市立大学産婦人科、公立陶生病院産婦人科勤務を経て、2002年に開業。開院当初より、硬膜外麻酔による無痛分娩を行っている。ト

≫ あさもと産婦人科クリニック

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