男性側の初期検査は、精液検査を行います。院内で採精するか、自宅で採精したものをクリニックまで持ち込んで検査をします。
女性側の検査は、生理周期に合わせて順次行われます。
経腟超音波下通水検査(子宮卵管造影検査)は排卵前、子宮口から細いチューブ(カテーテル)を通して、空気と混合させた生理食塩水を流し、エコーで卵管の様子を確認します。子宮卵管造影検査より痛みが少なく簡易な方法です。
卵管は、卵子が子宮まで送られる経路である他に、卵子と精子が受精する場所であり、卵巣から排卵された卵子を捕まえる役割を持つなど、様々な働きがあります。この経路が閉塞/狭窄することで、それらの役割が果たせない場合、不妊の原因になります。
子宮頸管は、普段は外部からの細菌侵入を防ぐため関所のような役割を果たしています。排卵期には頸管粘液の分泌量が増え、精子が子宮内に遡上しやすい状態が整えられます。
ヒューナー検査は排卵の時期に合わせて、夫婦生活を行っていただき、翌朝に子宮頸部粘液を採取して顕微鏡で観察します。
頸管粘液検査は頸管粘液が排卵期に相応しい状態になっているかを調べます。
排卵期以外の頸管粘液は少量で粘度の高い状態ですが、排卵期が近づくと頸管粘液の分泌量が増えサラサラの状態になります。
もし、過去に他院で行なった検査があれば医師にきちんと伝えましょう。その際、検査データを提示できればよりスムーズです。
各種血液検査は以下の二つの時期に分けられます。
①生理周期3-5日頃
卵胞ホルモン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン等のホルモンの基礎値を計測します。PRL(乳腺刺激ホルモン)、AMH(アンチミューラリアンホルモン)等もこの時期に計ります。
AMHは残りの卵の総量の参考になる卵巣予備能を予測する血液検査として近年注目されています。
②排卵後7日頃
黄体ホルモン、クラミジア抗原/抗体等のホルモンを測定します。
①②のほかにも、甲状腺機能を測る検査や抗精子抗体検査などの検査を行う場合があります。
ご紹介した他にも、まだまだたくさんの検査がありますが、全ての検査を必ずしなくてはいけないわけではありません。中には、重視する/しないの判断が分かれる検査もあります。
「たくさん検査をしたのに、どちらにも原因は見当たらない」と悩むご夫婦が一定数おられますが、不妊症は検査を行えば必ず原因が分かるというものではありません。