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卵胞が1つしか育たず、それも変性卵でした

専門医Q&A 不妊治療

卵胞が1つしか育たず、それも変性卵でした

2018.7.27

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相談者:エムさん(43歳)



採卵は2回ほどしました。一度目はクロミッド6日とゴナール150単位を3回、卵胞は1つしか育たず、その1つを採卵してみたら変性卵でした。その次の生理が来てフェリング300、セロタイドA、フェリング450、ガニレストA、フェリング300、ガニレストAとクロミッドを6日。やはり卵胞は1つしか育たず、採卵すると変性卵でした。今は鍼治療に通い、大量のサプリメントを飲み、病院からDHEAをもらい1錠ずつ飲み、鍼もどちらも3ヵ月目です。今回の生理は採卵をやめました。きちんとした卵胞を育てるための治療をどこに受けにいけばよいのでしょうか? 教えてください。



採れる卵子の数が少なく、それも変性卵だったという原因は?




この方は卵巣の予備能を示すといわれているAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が0.06ng/mlで、43歳という年齢を考えてもかなり低めだと思います。数が少ないだけではなく、変性卵の確率も高いということは、年齢以上に卵巣機能が落ちてきている状況といえるのではないでしょうか。
変性卵は確かに年齢が高くなると増えていく傾向があります。しかし、若くても体質的な問題で変性卵ができるケースもあり、逆に40代の人でも変性することが少なく、いい卵子が採れることもあります。エムさんの場合、年齢と体質、両方の要因が考えられるかもしれません。


今後、どのような形で治療を進めていけばいいのしょうか?


1回目は低刺激、2回目は高刺激で採卵に臨まれているようですね。方法を変えても結果は変わらず、卵胞はなかなか育たないし、育っても変性卵になってしまう。43歳、44歳くらいになるとたくさん刺激をしてもなかなか反応しなくなることもあり、体外受精でも一般不妊治療でも成績があまり変わらなくなってきます。


 


ステップダウンすることも1つのやり方だと思いますが、この方はFSH値がまだそれほど高くなく、卵子も採れていますから、まだ体外受精を続けていく余地はあると思います。
ただ、高刺激でも低刺激でもそれほど結果が変わらないのだったら、わざわざ体に負担の大きい高刺激法を選ぶ必要はないのでは。低刺激、もしくは自然周期で1、2個ずつ根気よく育てていって、どこかでいい卵子が出てくるのを待つという方法が好ましいのではないでしょうか。
それも年単位で漫然と続けるのではなく、半年などある程度目標を決めて臨む。そこでダメだったら治療をステップダウンしてしばらく人工授精を続けてもいいでしょう。


 


「どこに治療を受けに行けばいいのか」ということですが、これまでの経緯を見るかぎり、担当医の先生はしっかり診てくれていると思うので、同じ施設で治療を続けられて問題はないと思います。なかなか良いか結果が得られず、精神的にも大変だとは思いますが、採卵をやめるのではなく、目標は持ちながら少し気長に、納得がいく形で治療に臨んでいただきたいですね。





奥田先生より まとめ



●結果が同じなら負担の少ない低刺激か自然周期で採卵を

●半年など、ある程度目標を決めて続けることが大切





お話を伺った先生のご紹介

奥田 剛 先生(日暮里レディースクリニック)


昭和大学医学部卒業。カリフォルニア大学研究留学、せんぽ東京高輪病院、京野アートクリニック、津田沼IVFクリニック勤務などを経て、2016年日暮里レディースクリニックを開設。日本産科婦人科学会(産婦人科専門医・指導医)、日本生殖医学会(生殖医療専門医)、日本卵子学会(生殖補助医療胚培養士)、臨床研修指導医。「不妊治療は時間が大事。迷ったら躊躇せず、相談だけでもいいので気軽に来院してください」。

≫ 日暮里レディースクリニック

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