妊娠糖尿病の検査とは?
インタビュー 妊娠・出産
妊娠糖尿病の検査とは?
10人に1人いるともいわれている妊娠糖尿病。いつ検査を受ければ、よりよいタイミングで病気を発見できるのでしょうか。不安を解消する知識や、診断が出ても無事に出産するための心構えを井上レディースクリニックの井上裕子先生にお聞きしました。
妊娠糖尿病の検査とは?
妊娠糖尿病の再検査とは? 気をつけることは?
妊娠糖尿病の原因、リスク、対策は?
原因は?
妊娠すると胎盤で血糖値を上げるホルモンが産生されるため、妊娠中期以後は血糖値を下げるホルモン(インスリン)が効きにくくなり、血糖値が上がります。症状はまったくなく、検査で初めてわかります。
リスクは?
妊婦さんには妊娠高血圧症候群、早産、難産などのリスクがあります。赤ちゃんにも影響が出て、出産前は巨大児化や、それにともなう肩甲難産(分娩の時に赤ちゃんの肩がつかえたり骨折する)の恐れがあり、出産後には低血糖などを起こしやすくなります。
対策は?
妊娠糖尿病の対策は、食事療法が基本です。それでも血糖コントロールが難しい場合は、経口の糖尿病治療薬は妊婦さんには使えないので、インスリン注射により管理が必要なこともあります。血糖値の上昇に関係するのは炭水化物なので、炭水化物に含まれる糖質の摂取量をひかえます。糖質は肉や魚、卵、豆類、海藻類、油にはほとんど含まれず、主食のご飯やパン、麺、根菜類、果物、調味料(みりん、ケチャップ、ハチミツなど)に多く含まれます。
ここで糖質に関するクイズです。
≪Quiz≫ 次の食べ物で、糖質が多いのはどちらでしょうか?
1)五穀米と玄米
2)ベーグルとクロワッサン
3)全粒粉パンとふすまパン(ブランパン)
4)串団子とシュークリーム
≪Answer≫
1)玄米
五穀米は糖質量約48gに対して、玄米は約54g。ヘルシーなイメージの玄米ですが意外に糖質は多いのです。ちなみに白米も約55gと多め。またもち麦なども歯ごたえがあり、腹満感をより得られます。同様にざる蕎麦もヘルシーと思われがちですが、蕎麦汁にはみりんと砂糖をたくさん使い、最後に飲む蕎麦湯も糖質たっぷりです。
2)ベーグル、3)全粒粉パン
全粒粉パンは糖質の多い胚芽を含んだ小麦粉で作るので、表皮だけ使うふすまパンより糖質が多くなります。またパン類は、たんぱく質、野菜が不足しやすいので、ブランパンなどを使ったサンドイッチが手軽でオススメです。
4)串団子
上新粉や白玉粉、あんこを使う和菓子も、意外に糖質多め。また、小麦粉やパン粉を使うフライも同様です。糖質が低めのおやつとしては、チーズ類や無糖ヨーグルト、ナッツ類も腹もちが良くオススメです。
いまは妊婦さんを含め、3度の食事をパンやおにぎりだけ、蕎麦やパスタだけで済ますというように糖質主体の食事スタイルが増えていて、他の栄養素が不足しがちです。
赤ちゃんの成長や発育にはタンパク質や脂肪、ビタミンなども大切です。糖質をひかえながら肉や魚、卵、野菜、乳製品、海藻類、豆類、油をまんべんなく食べることが大事です。
井上先生より まとめ
また、妊娠中に見つかったトラブルは、20年後に改めて現れる可能性が高いといわれています。妊娠糖尿病は赤ちゃんからのメッセージです。「将来の糖尿病を防げる機会」ととらえ、私たちと一緒に血糖値の管理をして、出産にのぞみましょう。
妊娠糖尿病(GDM)は「妊娠が終わる」ことで改善します。しかし、GDMの既往がある女性、家族に糖尿病(DM)のある人は将来、本当のDMを発症しやすいという報告があります。
妊娠が終わっても健康に気をつけた食生活を続けることは大切です。