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気になる無痛分娩。知っておきたいお産の流れとメリット・デメリット

インタビュー 妊娠・出産

気になる無痛分娩。知っておきたいお産の流れとメリット・デメリット

「出産時の痛みを軽減できる」という無痛分娩。実際に選択した場合のお産の流れやメリット、注意点を愛育病院の岡田 恭芳先生に解説していただきました。

2018.8.7

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無痛分娩とは陣痛時や出産の痛みを取り除く分娩方法




陣痛や出産の痛みには個人差があり、経験してみないとわからないといわれています。無痛分娩とは、それらの痛みを軽減する分娩法です。


痛みを軽減する方法はさまざまなものがありますが、日本で普及している無痛分娩は、硬膜外麻酔を利用した方法です。体の硬膜外という場所に麻酔薬を注入し、お産の実感やいきむ力は残しつつ、陣痛や出産時の痛みを軽減します。


 


無痛分娩自体にも大きく分けて2つの方法があります。
1つはあらかじめ出産する日を決めて入院し、人工的に陣痛を誘発しながら麻酔を行う「計画無痛分娩」。もう1つは自然に陣痛が来るのを待ち、産婦のニーズに応じて麻酔を行う「オンデマンド無痛分娩」です。


 


医療施設によって両方から選択できる場合もあれば、計画無痛分娩のみの場合もありますし、麻酔のできる医師が勤務している時間帯のみ対応している施設もあります。
また、どちらを選択するかによって、お産のスケジュールが異なります。


 


計画無痛分娩の場合の分娩スケジュール


妊娠36週以降、毎週行われる健診での所見をもとに陣痛が始まりそうな日を予測して入院し、その翌日を分娩予定日に設定します。


入院日には内診があり、分娩誘発の準備としてメトロと呼ばれる小さなゴム風船のようなものを子宮口に挿入することがあります。


分娩当日は硬膜外麻酔の準備のため、背中に局所麻酔を行い、麻酔薬を注入するためのカテーテルと呼ばれる直径1mmのやわらかいチューブを挿入してテープで止めます。


その段階で陣痛が来ていれば、少量から麻酔の注入をスタートさせ、痛みを取りながら出産に臨みます。


もし、陣痛がうまく起きていない場合には、陣痛促進剤を少しずつ投与して陣痛を起こします。


 


ちなみに当院では、計画分娩であっても「より自然に近い安全なお産」をめざすために、経過などから判断して直前に分娩予定日を変更することがあります。


この方針は、事前に妊婦さんやご家族にお伝えして了解をいただいております。


 


オンデマンド無痛分娩の場合のスケジュール


自然に陣痛がきてから入院し、硬膜外麻酔によって痛みを軽減して出産する方法です。


より自然に近いお産になりますが、妊婦さんが痛みのために麻酔導入時の体位を取りづらかったり、急に進行する分娩では、麻酔が効くまでにお産になってしまうことがあります。


 


お産の現場では助産師が監督。医師はアシストする役割に


無痛分娩では麻酔薬や、時には陣痛促進剤などを投与するため、妊婦さんとおなかの赤ちゃんの近くで、安全にお産が進むよう管理する人が必要になります。お産の現場でその役割を担うのが、妊婦さんの変化に気づきやすく親しみやすい助産師です。


陣痛の痛みを軽減させる麻酔薬が適量か、麻酔によって血圧が下がり過ぎたり呼吸が乱れていないか、また、陣痛促進剤を使っている場合は、胎児に負担がかかっていないかなどをこまめに見ています。そのほか、子宮口の開き具合や妊婦さんの様子、おなかの赤ちゃんの心拍などもきめ細かくチェックしているので、いわば「お産の現場監督」といえます。


一方医師は、「監督」である助産師の要請を受けて、より安全に分娩できるようアシストします。




無痛分娩のお産の現場では、「安全」で「痛みによる負担が少ない」お産を目指して、助産師、医師、その他のスタッフがそれぞれの役割を担いながら、妊婦さんと赤ちゃんを支えているのです。


 


無痛分娩のメリットとデメリット


無痛分娩のメリットは、陣痛時の痛みを軽減することで、リラックスした状態で出産に臨めるという点です。また、痛みによるストレスが少ないため、産後の疲労回復も早く、赤ちゃんのお世話にも早く慣れることができるといわれています。


一方デメリットとしては、麻酔を行うことによって微弱陣痛になりやすく、陣痛促進剤が必要になる確率が高まります。また、赤ちゃんを取り出す際に鉗子や吸引など器械を使う確率が、無麻酔のときに比べて増加する傾向にあります。


さらに麻酔が切れた後には、会陰切開して縫合した部分など、出産による傷の痛みを強く感じやすくなります。


 


メリット、デメリットの両方を知ったうえで、無痛分娩を選択するかを、主治医と相談するといいでしょう。


 





岡田先生より まとめ



「安全でなるべく自然に近い無痛分娩」を目指して医師や助産師、その他のスタッフは研さんを積んでいます。ただ医療施設によって選択できる方法が異なるため、無痛分娩を希望する場合には、前もって分娩予定施設でどんな方法が選択できるのかを確認し、疑問に思っていることは聞いておくといいでしょう。





お話を伺った先生のご紹介

岡田 恭芳 先生(愛育病院 院長)


大阪大学医学部卒業後、同附属病院、箕面市立病院産婦人科で研修。一祐会藤本病院産婦人科部長を経て、1999年より当院へ。2017年より当院院長・医療法人愛育会理事長に就任。日本産科婦人科学会専門医、医学博士、母体保護法指定医、麻酔科標榜医。予備校や看護学校での10年以上にわたる講師経験を活かして当院の母親教室を担当。多くの妊婦さんから支持されている

≫ 愛育病院

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