「卵子の質」って何? 中村先生 教えて!たまごのこと
コラム 不妊治療
「卵子の質」って何? 中村先生 教えて!たまごのこと
「卵子の老化」という言葉が知られてきた一方で、詳しいことはよくわからないという人も多いのでは。卵子の質について教えていただきます。
「卵子の老化」という言葉が広く知られてきた一方で、詳しいことはよくわからないという人も多いのではないでしょうか。第3回目は卵子の質について、なかむらレディースクリニックの中村嘉宏先生に教えていただきます。
※2018年8月27日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn」の記事です。
POINT
★卵子も体と同じように年齢とともに老化します。
★35歳を目安に受精卵(胚)の染色体数異常の割合が増え着床率が低下し、流産率が上昇します。
★卵子の形態評価では、染色体数異常を判断することは不可能です。
★卵子の質を本質的に改善する方法は残念ながらありません。
★早めに「受精卵(胚)を貯蓄」して、妊娠率を高めることも必要です。
Q・卵子が老化するとはどういうこと?
Q・受精卵(胚)の質を見極める方法はあるの?
A・受精卵(胚)の形態評価はできますが、染色体数異常を見つける方法は特殊な方法になります。
受精卵(胚)の質の評価については、顕微鏡下で行う形態評価があります。
この方法には、初期胚を5段階に分類する「ビーク(Veeck)分類」と胚盤胞を評価する「ガードナー(Gardner)分類」があります。
ビーク分類は細胞(割球)の大きさが均一で、細胞の破片(フラグメンテーション)が少ないものが良好胚とされています。ガードナー分類は、胚盤胞を成長段階によって6段階に分類し、さらに赤ちゃんになる内部細胞塊と胎盤になる栄養外胚葉をA〜Cでグレード分類します。基本的に「3BB」以上を良好胚とし、「4AB」「5AA」と数値、グレードが高くなると、より質の高い胚盤胞ということになります。
しかし、受精卵(胚)の形態がよくても、年齢が高くなるにつれて胚移植後の妊娠率は低下していきます。その原因は先ほどもお話ししたように、受精卵(胚)の染色体数異常の確率が上昇するためです。染色体数異常は受精卵(胚)の形態ではわかりません。現在のところ、胚移植をする受精卵(胚)を形態のよいものから選んで移植するしか方法がありません。仮に形態良好な胚盤胞であっても染色体数異常があれば、着床しなかったり流産したりします。年齢が高くて卵巣機能が低下し治療可能な時間が限られている人にとっては、現在の方法では時間のロスが大きくなります。海外では受精卵(胚)に染色体数異常があるかないかを調べる検査(PGTーA:着床前染色体数異常検査)を行い、染色体数が正常な受精卵(胚)だけを移植する方法をとっている施設もあります。
Q・卵子の質をよくする方法はありますか。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn
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