※2018年8月27日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn」の記事です。
おまめさん(27歳)からの相談
▶排卵日のズレ?
昨年12月から不妊治療を始めました。1、2月はクロミッド®を服用し、HCG注射2回で排卵、32日周期で生理がきました。次の回はクロミッド®服用とHCG注射1回、指定日にクリニックに行ったところ、すでに排卵済みでした。しかし、いっこうに体温が上がりませんでした。次の回は、排卵予定日を過ぎても体温が上がらず、排卵予定日から2週間経過してようやく高温期に入りました。低温期は36.20~36.30℃で高温期は36.80℃前後です。これは大幅に排卵がズレたということでしょうか? また、最近「マカ」などの成分が入っているサプリメントを飲み始めたのですが、サプリメントの影響は考えられますか?
Doctor’s advice
●高温期に移行できないのは、「黄体機能不全」の可能性があります。
●サプリの服用量の確認を。ホルモンバランスに影響することがあります。
クリニックできちんと排卵の確認ができているのに、基礎体温が高温期に移行しないというケースはよくあることなのでしょうか?
低温期と高温期には約0.3~0.5℃の体温差があります。平熱が36・3℃であれば、36・6~36・8℃くらいが高温期の体温になります。通常、生理開始日から12~16日で排卵が起こり、そして排卵後、2~3日で低温期から高温期に移行していきます。
うまく高温期に移行しない原因は3つほど考えられます。①そもそも卵胞が発育していないため、排卵が起きていない。②卵胞は発育したが、排卵がうまくいかず、高温期に入らない。③卵胞は発育して、排卵もしているが高温期に入らない。このいずれかになります。おまめさんの場合は、クロミッド®で卵胞を発育させ、HCG注射で排卵を促し、またクリニックでおそらくエコー検査もされているようですので、原因は③にあたると考えられます。HCG注射が2回から1回になっていますが、これは普通のことなので、注射の回数が減ったこととは関係ないと思います。
高温期にはプロゲステロン(黄体ホルモン)という、基礎体温を上げ、子宮内膜に厚みをもたせて維持するホルモンが分泌されるのですが、おまめさんの場合、このプロゲステロンの分泌がうまくいっていない可能性が考えられます。これは「黄体機能不全」といって、日常生活でのストレスや生活習慣などによっても左右されるものです。
黄体機能不全だった場合、今後どのような治療が考えられますか?
今後もうまく高温期に移行できないようでしたら、黄体機能検査(採血)を受けてみてください。検査結果で黄体機能不全でしたら、黄体ホルモン薬を使っていくのがよいでしょう。まずは内服薬から試して、次は注射などの治療が考えられます。担当の先生と相談しながら進めてください。年齢的にもまだ20代ですし、治療を始められてまだ約半年なので、しばらく様子を見てみるとよいと思います。ステップアップはまだ先と考えてよいでしょう。
サプリメントを服用されているとのことですが、影響は考えられますか?
おまめさんが飲み始めたサプリメントには「マカ」という植物が配合されているようですね。これは妊活だけでなく更年期障害の方にも効果があるといわれている成分で、決して悪いものではないのですが、エストロゲンが含まれています。このエストロゲンが増加したことによって、おまめさんのホルモンバランスが崩れた可能性がなくもありません。推奨されている内服方法を今一度確認してみてください。人によっては、サプリメントだから所定の量より多く服用されている場合もあるので、服用量には十分気をつけてください。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn
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