そこが知りたい無痛分娩。自然分娩との違いは?デメリットはどんなこと?
インタビュー 妊娠・出産
そこが知りたい無痛分娩。自然分娩との違いは?デメリットはどんなこと?
海外では主流である無痛分娩。日本では都市部以外では扱っていない医療施設も多く、なかなか情報が得られない状況があるようです。はぐくみ母子クリニックの輿石太郎先生にお話を伺いました。
麻酔で痛みを和らげることが可能な「無痛分娩」
無痛分娩とは、局所麻酔薬を使ってお産の痛みを軽減する分娩方法です。
当クリニックの無痛分娩では、初産婦さんでは自然の陣痛を待って行っています。計画分娩よりお産が順調に進みやすく、また、帝王切開に移行する確率が低くなるというデータもあるためです。24時間いつでも無痛分娩に対応できるよう、スタッフの体制を整えています。
一方、お産が2回目以降の経産婦さんに対しては、計画分娩をおすすめしています。経産婦さんでは、分娩誘発を行っても帝王切開が増えないというデータがあることに加えて、お産の経過が早く麻酔の処置が間に合わない場合も少なくないためです。妊娠38週以降に、希望に合わせて入院日を設定しています。
陣痛を待った場合の分娩の手順としては、痛みを強く感じた段階から麻酔薬の注入を行います。背中の脊髄に近い硬膜外腔というところに細いカテーテルを入れ、そこから局所麻酔薬を投与して出産の痛みを取り除いていきます。分娩中には、なるべくすべての痛みを取るよう、産婦さんに痛みの具合を聞きながら細やかな麻酔薬のコントロールを行います。しかし、痛みの感じ方はそれぞれ異なることと、腰や恥骨の骨、ならびに、肛門の痛みが取れにくいこと、加えてお尻を押されるような感覚は残るため、痛みや苦痛を訴えられる妊婦さんもいらっしゃいます。
無痛分娩には頻度は低いがデメリットも存在する
無痛分娩に向いている人とは痛みに弱く不安が強い人
輿石先生より まとめ
なんでも「自然」が良いわけではないと私は考えています。「自然」には「自然淘汰」も含まれます。医療行為を何もしないでおくとお産で命を落としてしまうケースも少なくはありません。一番大切なのは、お母さんも赤ちゃんも元気にお産を終えることです。医療は安全性を高めるため、産科では母児の命を助けるために発展してきました。漠然とした「自然」への信仰は命の危険を伴います。お産に医療を入れていくということをより柔軟にとらえて、無痛分娩も選択肢の一つとして、母子にとってよいお産を選択していただきたいと思います。