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多嚢胞性卵巣症候群?今後の治療法は?

専門医Q&A 不妊治療

多嚢胞性卵巣症候群?今後の治療法は?

以前、医師から不妊の原因は不明と言われていましたが、自分では多嚢胞性卵巣症候群ではないかと思い、別の医師に聞いたところ「そうだと思う」という回答が来ました。本当にそうなのか、その場合、今後はどんな治療法が選択できるかを知りたいです。

2018.9.29

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marikoさん(30歳)
多嚢胞性卵巣症候群について



約3年不妊治療をしています。
3日前まで不妊原因は不明と言われていました。

治療歴は、

①人工授精4回

②採卵1回目(8個の卵子が取れて、うち未成熟卵が3個、最終的に胚盤胞になったのは3個)

③移植3回(2回目で妊娠するも8週で流産。絨毛染色体検査の結果以上なし。1.3回目はかすりもしませんでした。)

④採卵を行うために卵巣刺激を行うもOHSSになり中止

⑤採卵2回目(2個取れたが、未成熟卵のため培養中止)
※卵巣刺激法は3回とも低刺激法です。





⑤の結果について、医師より説明を受けた際に、こちらから「多嚢胞性卵巣なのか」と問いましたら「そうだと思う」と言われました。約1か月前に、別の医師に「これまで不妊原因をいわれたことはないが、原因はないのか」と質問したことがあり、「原因不明」です。と回答されていました。しかし、血液検査の結果を見ると約1年半前の初診時の血液検査の結果も一年前の血液検査の結果も、最近の結果もLH>FSHでした。また、人工授精のときもOHSSになったときも、未成熟卵しか取れなかったときも、小さい卵がたくさんあると言われていました。


原因不明と言った医者は見過ごしたのではないかと不信感でいっぱいなのですが、そんなにわからないものなのですか?


そして、多嚢胞性卵巣症候群の場合の卵巣刺激について、低刺激法を繰り返していたわけですが、他の方法はなかったのではないでしょうか。

未成熟卵しか取れなかったときに、「アンタゴニスト法」はどうかと聞いたら、「あなたの場合は薬をたくさん使うため、卵巣に負担がかかり、OHSSのリスクが低刺激法より高まる。」と説明を受けたのですが、これは正しいのですか?










中村 拓実 先生(なかむらアートクリニック 院長)







marikoさんは多嚢胞性卵巣症候群の可能性が高いですか?


通常、卵巣内で1つの卵を育てて排卵させますが、多嚢胞性卵巣症候群になると、卵巣の中に卵子が入った袋(卵胞)がいくつもでき、ある程度大きくはなるが、袋を破裂させて外に出る卵子が大きく育たないため、排卵できずに未成熟卵が卵胞に残ってしまいます。
20代後半から30代前半で好発する病気で、以下の3つの条件を満たすと多嚢胞性卵巣症候群と診断されます。


 


【3つの条件】


1) 月経不順


2) 卵巣内にたくさんの卵胞が認められる


3) ホルモン値がLH(黄体化ホルモン)>FSH(卵胞刺激ホルモン)


※通常FSHの数値の方がLHよりも上


 


marikoさんの場合、


・月経のサイクルが30~33日のことが多く、時には40日になる(1の条件を満たす)


・医師から診察時に「小さな卵がたくさんある」と複数回言われている、AMH値が年齢の平均値より高め(2の条件を満たす)


・1年半以内に3回行っている血液検査でいずれもホルモン値がLH>FSHである(3の条件を満たす)


 


 と、診断基準の3つの条件を満たすことから、恐らく多嚢胞性卵巣症候群の可能性が高いと考えられます。
別の医師が「原因不明」と考えた理由は、この相談内容だけだと推測しづらいですが、多嚢胞性卵巣症候群の可能性が高いとわかったということは、原因不明の時よりも治療の方針が立てやすくなったということです。「一歩前進した」と、前向きに考えるといいでしょう。


 


多嚢胞性卵巣症候群の場合、低刺激法以外の刺激法はOHSSのリスクが高まるのでやめたほうがいいでしょうか?


低刺激以外の方法も選択できます。当院の場合、基本は体への負担の少ない「低刺激法」での治療を行っていますが、ケースによっては、弱すぎると卵がうまく育たたない時もあります。その場合は中くらいの刺激にするなど、刺激度を上げたりするなどの対策を講じます。


 


逆に患者さんによってはアンタゴニスト法で採卵してみたところ、卵の質が芳しくなく、採卵数も少ない場合は、低刺激にすることもあります。さらに、患者さんの体の状況に応じて低刺激法、もう少し刺激度を上げた方法のどちらも行き来しながら治療をすすめていくケースもあります。


 


marikoさんの場合もかかりつけ医がおっしゃるようにOHSSのリスクが高まりますが、低刺激法で期待した結果が得られない場合、アンタゴニスト方法で採卵してみるのも方法の1つだと考えます。


 


刺激法を変える以外に妊娠に近づくためにできることがあったらお教えください


多嚢胞性卵巣症候群と診断されても必ず体外受精にする必要はありません。
以前に人工授精を4回されているということは、薬の力を使ってでも排卵はできているということです。年齢もまだ30歳と若いので、1つの成熟した卵を育てられれば、タイミングや人工授精でもまだまだ妊娠できるチャンスはあると思います。


 


また、本来は糖尿病の時に服用するものですが、卵を育ちやすくする効果が得られる薬があります。それらを併用して卵を育てて体外受精を行う方法も選択できます。


 


先ほどもお話したように多嚢胞性卵巣症候群は卵がまだたくさん卵巣に残っている20代後半~30代前半で好発するため、加齢によって卵の数が減ってくると正常になってくることもあります。


 


ご自身で気を付けて欲しいのは、体重管理です。多嚢胞性卵巣症候群は、やせすぎや肥満の方が発症しやすいので、BMIを正常値にするように心がけましょう。


 





中村先生より まとめ



不妊治療の場面だと、期待した結果が得られないこともあります。その場合は「この方法じゃまた妊娠できないのでは…」など、モヤモヤした気持ちを抱えたままだと治療が辛くなってしまいますよね。
次の周期の治療に入る前に医師と今後どのような治療の選択肢があるのかについてよく話し合うことがポイントです。
過去には胚盤胞まで育っている胚もあるので、妊娠する可能性や、やり方はまだまだあります!頑張ってください。






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お話を伺った先生のご紹介

中村 拓実 先生(なかむらアートクリニック 院長)


札幌医科大学卒業後、同大学産婦人科教室入局。その後木場公園クリニック、みなとみらい夢クリニックを経て2015年になかむらアートクリニックを開設。患者さんの立場になって、治療について親切にわかりやすい説明を行い、こまめにコミュニケーションを取れる環境づくりを心がけている。納得して治療を受けられる」「安心できるから治療中リラックスできる」と、多くの患者さんからの信頼も厚い。

≫ なかむらアートクリニック

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