HOME > 女性の健康 > その他 > 性感染症ってどんな病気?
HOME > 女性の健康 > その他 > 性感染症ってどんな病気?

性感染症ってどんな病気?

インタビュー 女性の健康

性感染症ってどんな病気?

結婚・妊娠前に知っておきたい性感染症の治療法と予防法をジェネラルクリニックの小川奈津希(なつき)先生に伺いました。

2018.10.5

あとで読む

現代では性交経験の低年齢化が進み、性感染症の患者数が男女ともに増加傾向にあります。これから家族となる大切な人のためにも結婚前、妊娠前に知っておきたい性感染症という病気。正しい知識や治療法、予防法をジェネラルクリニックの小川奈津希(なつき)先生に伺いました。




性感染症は性行為によって感染する病気


性感染症(Sexually Transmitted Infections:STI)とは性行為によって皮膚や粘膜から感染する病気の総称です。おもな種類としてはクラミジア感染症、性器ヘルペス感染症、尖圭(せんけい)コンジローマ、梅毒、淋菌感染症、HIV感染症/エイズなどが挙げられます。
厚生労働省の「感染症発生動向調査」によると、平成29年の調査(暫定値)では性感染症の患者全体のなかで、クラミジア感染症の半数が女性、性器ヘルペス感染症に至っては女性が60%を占めています。また、ここ数年で最も急増しているのが梅毒です。平成24年の調査数と比べると、平成29年ではわずか5年で女性の患者数が約10倍になっています。


性感染症のおもな症状と特徴


クラミジア感染症……男女ともに自覚症状が少ないケースが多いのですが、自覚症状としてはおりものの増加、頻尿や排尿痛、性交後の性器出血などです。病気が進行すると子宮や卵巣にまで炎症が広がり、下腹部の激しい痛みが起こる場合があります。不妊症など重症化する可能性もあります。

性器ヘルペス感染症……自覚症状としては外陰部の水泡や鼠径部(そけいぶ)のリンパ腺の腫れなどがみられますが、初期感染で歩けないほどの痛みが出ることもあります。一度感染するとウイルスが脊髄(せきずい)神経節に潜伏し、ストレスや風邪などで抵抗力が落ちると再発する可能性があります。もし妊娠中にこの病気に感染していると、出産時に産道で赤ちゃんに感染する恐れがあります。

尖圭コンジローマ……腟や外陰部、子宮頚部などにピンク色や褐色のイボができるので視診で診断しやすいのですが、発症までの潜伏期が3週間から8カ月ほどあり、知らない間に自然治癒することもあります。

梅毒…梅毒トレポネーマという病原菌が感染して起きる病気で、3~6週間の潜伏期を経た後外陰部に固いしこりができ、2~3カ月後には発疹などの全身症状が現れます。治療をせずに病気が進行すると脳の神経などが侵されるほか、妊娠中に罹患している場合には胎盤を通じて胎児に感染します。

淋菌感染症……女性はほとんど自覚症状がなく、気づきにくいのが特徴です。しかし、そのまま放置しておくと淋菌が子宮から卵管まで広がり、下腹部の痛みや発熱が生じるほか子宮外妊娠、不妊症などの原因となります。

HIV感染症/エイズ……ヒト免疫不全ウイルスが血液や体液を介して感染する病気で、発症までの期間が6カ月~10年以上と個人差があります。発症すると免疫力が著しく低下し、健康体ではほとんど害のない細菌やウイルスに感染したり、悪性疾患などによって最悪の場合、死に至ることがあります。


受診のタイミングや治療法について


感染初期において女性は症状がないことがほとんどですが、全般的にいえることは普段のおりものの変化(量、色、臭い)、外陰部の痛みやかゆみ、性行為後の出血などの異変があったら受診することをおすすめします。性感染症は早期発見、早期治療が重要です。受診する科は婦人科や泌尿器科ですが、性器ヘルペスや尖圭コンジローマは皮膚科でも治療を行います。
治療法は性感染症によって異なりますが、抗生剤の投与や塗り薬、注射のほか、尖圭コンジローマなどはイボをレーザーで切除することもあります。性器ヘルペスは再発しやすいので、経過観察しながら再発抑制療法を行います。また、HIVはかつて死に至る病気といわれていましたが、最近では治療法が進歩してHIV感染者も通常の生活を送ることができるようになりました。


性感染症を予防するには


性感染症は性行為における皮膚や粘膜を介しての感染ですので、感染予防のためにもコンドームは欠かせません。ただ、性行為の最後に使用するのではなく、最初から最後まで装着していなければ効果がありません。さらに複数のパートナーとの性行為は性感染症において大きなリスクとなりますので、予防面においても信頼のおけるパートナーの特定は大事です。また自分が感染していたら、必ずパートナーと2人同時に受診してください。1人のみが治療して完治しても、その後の性行為で互いにうつし合う「ピンポン感染」が起きてしまいます。


まとめ
・性感染症は自覚症状が少ないので、おりものの変化、性行為後の出血など体の異変に気づいたら迷わず受診する
・性感染症の予防という観点においても性行為は複数ではなく、信頼のおける特定のパートナーと行うのが安全


お話を伺った先生のご紹介

小川奈津希(なつき) 先生


金沢医科大学を卒業後、日本大学附属病院の形成外科を経て、山王病院産婦人科、三田病院婦人科、聖母病院産婦人科などに勤務。現在、東京・六本木のジェネラルクリニックの院長を務め、女性にかかわらず、男性、GIDなどオールジェンダーのかかりつけ医として信頼を集める。日本産婦人科学会認定 産婦人科専門医。日本医師会認定産業医。

≫ ジェネラルクリニック

image


あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top