出産後に抑うつ状態になる「産後うつ」とは?
インタビュー 妊娠・出産
「待ちに待った出産だったのに、赤ちゃんが生まれたら産後うつになってしまった」という人は珍しくありません。どうしたら産後うつは解消できるのでしょうか。また、産後の体調変化で気をつけるべきことについて、堀産婦人科の堀量博(かずひろ)先生に伺いました。
マタニティブルーと産後うつの違いは?
マタニティブルーと産後うつの症状は似ていますが、異なった特徴があります。マタニティブルーは出産直後に気分が落ち込んだり、怒りっぽくなったり、不安になるなどの状態になりますが、ほとんどの場合には産後2週間ほどで治まります。
一方、産後うつは産後数週間以内に起きて、2週間以上持続することが診断基準とされています。しかし、マタニティブルーにかかった人は産後うつ病を発症するリスクが高いといわれ、両者はまったく無関係とはいえません。
産後うつの主な症状としては、悲しい、つらいなどの抑うつ気分に加え、睡眠不足・過多、食欲減少・過多などといったさまざまな抑うつ状態が表れます。
産後急激に変わる女性ホルモンのバランスやストレスが要因
産褥期に起こりやすい心身の不調
堀先生よりメッセージ
日本人は昔から地域のコミュニティで子育てをしていましたが、現在は核家族化や近所付き合いの希薄化により、育児のストレスや悩みなどを誰にも相談できない女性が増えているようです。それを解消するにはやはり、もっとも身近な出産経験者であるご自分のお母さまに話を聞くこと、あるいは聞いてもらうことです。家族の関係性にもよりますが、もしお母さまに相談できなければ、出産経験のある友人、知人でもいいですし、最近は地元の自治体でのサポート活動も盛んです。自分だけで抱え込まず気軽にだれかに相談してみましょう。同じ悩みを共有し、「自分だけじゃない」と感じて気持ちの負担を軽くすることが産後うつの予防、改善につながるのではないでしょうか。
また、「産後うつ」については、病気ではあります。うつには産婦さんがかかる可能性は高いというのは事実です。自分でもわからないうちに、うつになってしまっているのですが、最近はその事実を医療側が理解しており、私たちがなるべく早く気がつくよう目を向けています。自治体や、産婦人科のみんなで産婦さんを見守っていますので、安心してください。あまり気構えず、「ちょっとおかしいな」と感じたら、気軽にかかりつけ医にご相談くださいね。