産褥(さんじょく)期の体と心の変化とは?
インタビュー 妊娠・出産
出産を終えた女性の体は、子宮をはじめ妊娠前の状態に戻ろうと変化していきますが、すぐに戻れるわけではありません。この時期を産褥期、“産後の肥立ち”ともいいますが、体はどう変化しどのように過ごすと良いのか、ごきそレディスクリニックの小川麻子院長にお話を伺いました。
出産後、ママの体と心に起こることとは?
赤ちゃんが生まれて胎盤娩出したあとの約2時間を分娩第4期といいますが、そこからお母さんの体が元の状態に戻るまでの6〜8週間を産褥(さんじょく)期といいます。
出産直後から起こりやすい症状としては、後陣痛や会陰切開の痛み、悪露(おろ、産褥期に子宮腔内や産道から排出される分泌物)などがあります。後陣痛は、大きくなった子宮が元に戻るために収縮することで痛みが起こり、経産婦さんは子宮が柔らかくなっているので痛みは強くなりますが、だいたい3〜4日で収まり、4〜6週間で妊娠前の大きさの子宮に戻ります。
会陰切開した場合は、痛みが強ければ産院で痛み止めのゼリーや湿布をもらうことができます。悪露は通常10日ぐらいで収まりますが、あまり頑張って無理をしてしまうと量が増えたり期間が延びたりするので、買い物やお洗濯などの家事は、自分でできそうだと思っても、産後1カ月ぐらいは旦那さんや周りの人に頼んでおくと良いと思います。
疲れるとおっぱいが止まってしまったり、うつにもなりやすくなります。上のお子さんがいる場合は、近くにお友達がいれば保育園や幼稚園などの送り迎えを頼むだけでも全然違いますよ。妊娠中は10カ月の間、女性ホルモン(卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン))が徐々に増えていきます。女性ホルモンは、妊娠5か月からは胎盤からも分泌されるようになります。しかし、胎盤は出産と共に体外に排出されるので、たった1日でホルモンの値が急激に下がります。
一番大切なのは、産褥期に孤立させないこと
大変なのは最初の2週間。夫や周囲にもそのことを知ってもらいましょう
妊娠期間中に、「助けて」と言える環境づくりを
まとめ
産褥期の体の不調は病院が診てくれるので心配ありませんし、自然に回復していきます。産後2カ月間は心身共に無理をせず、一人で悩みを抱え込まないよう、家族や周りの人にも理解してもらうことが必要です。妊娠期間中にママ友を作ったり、近所の方にお願いしたり、病院や行政などのサポート機関を事前に調べておくなど、困ったり悩んだりしたときに相談できる対象を作っておきましょう。
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