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妊娠中のリステリア菌の感染について

専門医Q&A 女性の健康

妊娠中のリステリア菌の感染について

2013.12.13

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おまめさん(32歳)

こんにちは。妊娠3ヶ月のものです。
リステリア菌の感染について教えてください。

リステリア菌の事を役場からもらった資料で知ったのですが、
それには、ナチュラルチーズや肉や魚のパテを食べないように気をつけましょうと書かれていました。

なのでそれらの食品を食べないように気をつけていました。
生の魚介類に注意とは書かれていなかったので、
今日お寿司屋さんで、生のホタテを食べてしまいました。
他の生魚はあまり食べる気がしなかったので食べていません。
その後生の魚介類は大丈夫なのかなあ?と気になり、帰宅後ネットで調べてみたら、生の魚介類や、かまぼこも感染の危険があるという記事がありました。
生のホタテ以外に、カニカマのサラダ巻もちょうど食べてしまっていたので、それらのものからリステリア菌に感染していないか、とても心配になってしまいました。
リステリア菌に感染している可能性はありますか?


また、リステリア菌に感染してしまった場合、必ず症状があるのですか?症状がでない場合もあるという記事もあったので、もしも、感染しているのに、治療ができなかっかったらどうしようと、今本当に心配しています。

どうかご回答よろしくお願いいたします。



お話を伺った先生のご紹介

伊東 宗毅 先生 (茅場町いとう医院)


日本産科婦人科学会
産婦人科専門医

埼玉医科大学卒業後、埼玉医科大学総合医療センター産婦人科、武蔵野赤十字病院産婦人科、埼玉医科大学総合医療センター産婦人科、赤心堂病院産婦人科勤務を経て、2013年9月茅場町いとう医院を開設。



≫ 茅場町いとう医院

突然「リステリア菌」などという聞きなれない名前を出されると不安になってしまいますよね。

まず、リステリア菌について少し詳しくご説明します。
リステリア菌というのは、食中毒の原因菌の一つです。
自然界に広く分布しており、食品加工施設や家庭内からも発見されることがある菌です。

感染しても症状が出ない場合が多いのですが、免疫力の落ちている人が感染すると、発熱、筋肉痛などを起こします。
食中毒菌ですが、胃腸炎症状を出さない場合もあるので、注意が必要です。
妊婦さんの場合、母体自身が重症化する場合と、胎盤や血液・羊水などを介して胎児に感染し、胎児が重症化する場合があります。
重症化すると、髄膜炎や敗血症をおこし、命にかかわる場合もあります。
治療は抗菌薬です。

潜伏期間は長めで、原因食品を口にしてから1週間以上経過してから発症する場合もあります。

ほかの菌と大きく違うのは、この菌が低い温度でも死なないだけでなく、ゆっくりと増えていく、という点です。
また、塩分にも強いため、塩漬けされたり、塩分濃度の強い食品の中でも感染力を失わないという特徴もあります。

このため、長期間冷蔵保存された食品から感染してしまうことがあり、冷蔵保存技術の発達した先進国での感染が問題となることが多いのです。

日本ではどうかというと、今のところ、大規模な感染は2001年の北海道でのチーズを原因とした感染のみで、あとは年に数十件程度の散発発生が疑われる程度です。

日本での発生は少ないのですが、食の欧米化に伴い、チーズや生ハムなど長期冷蔵・塩蔵保存された食品が食卓に上る機会が増えていますので、今後発生が増えることが懸念されています。
ですので、妊婦さんには、より注意をしていただきたいと、パンフレットが配られています。

さて、今回、ご心配の生のホタテの件です。
生食で提供される魚介類も、何らかの経路でリステリア菌に汚染されていた場合には感染の原因となりえます。
ですが、通常は冷蔵保存期間も短く、またお寿司屋さんとのことですので一般的な食中毒対策は施されていると思われますので、あまり心配の必要はないと思います。

症状については、母体にまったく症状が出ないということはあまりなく、発熱や筋肉痛などの軽い風邪を疑わせるような症状が出る場合が多いようです。
もしもこれらの症状に気付いたら、早めに医師に相談してください。

これからの季節、カズノコやかまぼこなど、冷蔵、塩蔵されたものが食卓に上る機会が増えると思います。
冷蔵保存を過信せず、食べる前の加熱を十分に行い、安全においしい食事を召し上がってください。

栄養バランスにも気を付けてくださいね。


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