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だらだら続く生理と下腹部痛

専門医Q&A 女性の健康

だらだら続く生理と下腹部痛

「今月の終わりか来月の始めには2回目の移植予定です。子宮の状態が不安定なまま移植をしてもまた陰性になるのではないかと不安でいっぱいです。」

2013.7.22

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ゆのさん(34歳)


質問させていただきます。
不妊治療1年半しています。生理は28から31日周期で1週間程度でおわります。
ですが、6月の始めに初めての体外受精をして陰性結果後の生理がいつもと違っていて生理の量も少なく生理らしい経血があったのはわずか2日程度で後は茶色いおりものみたいなのがだらだらと続き結局生理が終るのが11日かかりました。
採卵や移植でたくさんの刺激の影響だろうとさほど気にはしていなかったのですが、おやすみ周期の今月の生理は、いつもは薬を飲まないと我慢できない生理痛が、薬を飲まなくても大丈夫で、出血も多く5日くらいたってからは茶おりになり、順調に終るのだろうと思っていましたが、先月同様10日たった今日もまだ少量の茶おりがつづいています。
また、卵巣辺り?左右の下腹部がチクチク、ズキズキ痛むことが多々あります。
この痛みは何なのか、なぜいつもある生理痛が今回はなかったのか、だらだら続く生理は何故なのか…とても心配になります。
今月の終わりか来月の始めには2回目の移植予定です。子宮の状態が不安定なまま移植をしてもまた陰性になるのではないかと不安でいっぱいです。
ホルモンバランスが乱れているのでしょうか?このまま移植しても問題はありませんか?
すみません、回答よろしくお願い致します。






お話を伺った先生のご紹介

原利夫 先生 (はらメディカルクリニック)


赤ちゃんが出来にくいという状態は、医学的な側面と環境的な側面の両面、言い換えますと、心と体のバランスの解決が必要であると考えております。
最近では、体外受精などの先進的な医療の妊娠率にとらわれがちですが、私達医師は、妊娠しやすい安心できる環境と、それをサポートする医学的な力を提供すべき使命があると考えています。
三人四脚で新しい家族の誕生をお手伝いすることが出来れば幸いです。

院長 : 原 利夫 (はら としお)
医学博士。58年慶応義塾大学大学院医学研究科修了にて医学博士学位を取得する。同大産婦人科助手を経て、62年東京歯科大学市川病院講師、平成元年千葉衛生短大非常勤講師となる。この間、日本初の体外受精凍結受精卵ベビー誕生のスタッフとしても活躍する。


≫ はらメディカルクリニック




通常、月経は排卵が起きて妊娠しなかった場合に卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の両方の分泌量が減少し、厚みを増していた子宮内膜が剥がれおち出血することでおこります。そして、子宮内膜で黄体ホルモン(プロゲステロン)から子宮筋の収縮物質であるプロスタグランジンが産生され、これが下腹部痛や腹痛などの月経痛を生じさせる原因となっています。
子宮内膜は、排卵後に黄体が形成されプロゲステロンというホルモンが分泌することにより肥厚していきますが、きちんと排卵されていなかったり(無排卵性月経)、月経時にプロゲステロンが減少されず分泌されていると、子宮内膜が薄いために出血量が少なかったり、だらだらと生理が続いたりすることが多く月経痛もあまりおこりません。無排卵性月経の場合、放置しておくと不妊症の原因になる恐れもあります。
ホルモンのバランスが崩れている時はカウフマン療法を行い、ホルモン周期を整え、規則正しい子宮出血を誘発する事、卵巣を刺激して排卵を促す事が必要となります。
また、採卵の後の月経で茶色のおりものが続くのは、採卵時に卵胞液ごと吸い取るため、ホルモンバランスが崩れるためだと考えられます。
月経時には、子宮収縮物質であるプロスタグランジンが産生されることが原因で、腹痛や下腹部痛などの症状が生じますが、子宮内膜症や子宮筋腫などの子宮の病気や卵巣チョコレート嚢胞など卵巣の病気が原因で生じていることも考えられます。子宮筋腫は子宮内にできる良性の腫瘍で筋層内筋腫、粘膜下筋腫は受精卵が着床しにくくなり、不妊につながりやすいと考えられます。また、卵巣チョコレート嚢胞は、子宮内膜症が卵巣に存在することで卵子が排卵しても卵巣の中に残ってしまいます。いずれも超音波検査やMRIで検査が可能なので、検査を受けて月経痛の原因を突き止めることも必要です。
胚移植を行う時は、子宮内環境も重要となります。子宮内膜は受精卵のベッドの役割を果たすもので、この子宮内膜の厚さが薄すぎると、うまく発育できません。子宮内膜の厚さ
8ミリ以上、黄体ホルモン(プロゲステロン)の値が8ng/mlであれば移植を行う事ができますので、移植前に子宮内膜の厚さやホルモン値を確認することが必要です。ご自身の排卵がない場合や、子宮内膜が厚くならない場合には、クロミッドを内服した周期に移植を行うか、エストラーナテープや膣坐薬を使用してホルモン補充を行い子宮内膜を理想的な状態に整えた周期に移植を行うなど、状態に合わせて移植方法を選択する必要があります。
ゆの様の今週期の移植は見送ってはいかがでしょうか。





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