AIHで抗精子抗体が作られてしまうことについて。
専門医Q&A
女性の健康
AIHで抗精子抗体が作られてしまうことについて。
2014.11.11
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ちゃんるぅさん(35歳)
現在、タイミング療法で半年が経ちます。そろそろステップアップを考えており、主治医にAIHの相談をしたところ、抗精子抗体検査、フーナーテスト検査で共に問題なかったため、意味がないのではということでした。
むしろ私のような人がAIHを行うと抗精子抗体を作ってしまい、かえって妊娠しづらくなるとのことでした。
抗精子抗体を持たない人がAIHを行うと抗精子抗体を作ってしまうということは初耳で、その後自分なりに調べてみましたが、何も情報を見つけることが出来ませんでした。
本当にそうなのでしょうか?
だとすれば、私のステップアップはいきなり体外受精になってしまいます。もし最近の論文などでこのようなことが発表されているとしたら、どうか教えて頂きたく存じます。
通院先の先生のご説明ですが、「人工授精を何回も行うと抗精子抗体を作ってしまい……」と、いうのは正しいと思います。しかし、後半の「かえって妊娠しづらくなる」というのは間違った解釈なのでは? 人工授精では女性の体に精子という異物を入れていくわけですから、抗体ができてしまうというのは理にかなっています。しかし、不妊に関係するような抗体はほとんど作られることはありません。ですから、抗体がいくつかできたとしても妊娠しづらくなるということはないでしょう。
通常の流れでは人工授精を受ける前に抗精子抗体を調べることが多いと思います。もし検査を受けることなく体外受精に進んだ場合でも、事前に必ず調べます。しかし、調べても抗精子抗体が出る確率というのはすごく低いですね。抗精子抗体陽性の方の多くは、通常の体外受精で受精卵ができますので、最近では体外受精治療において抗精子抗体の検査は必要ないという意見も出ているほどです。ですから、妊娠について心配される必要はまったくないと思います。
では、人工授精に進むべきかどうかということですが、ちゃんるぅさんはヒューナーテストで異常がなかったとのこと。異常がないということは、男性の精子が中に入るということに関してはほとんど問題がないわけです。人工授精はヒューナーテストが異常な場合に効果的だと考えられています。あとは精子の数が少ないとか運動率が低い場合に、精液を濃縮・洗浄して注入することで、受精する状況を改善してあげる。そういう2つの目的がある治療ですね。
ヒューナーテスト、精液検査に問題ないのちゃんるぅさんの場合、精液を濃縮・洗浄して精子の状態を良くするという、多少のプラス効果はあるかもしれませんが、妊娠率が劇的に上がるということは考えにくいでしょう。
しかし、いきなり体外受精にステップアップすることに抵抗があるということでしたら、2~3周期くらい人工授精にトライして、心の準備をするというのも悪くないと思います。まだご年齢的には少し余裕があるので、ご夫婦でよく相談して決めていただきたいですね。
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