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自然周期で10回採卵、胚盤胞までたどりつきません。他に方法はあるでしょうか？

専門医Q&A 女性の健康

自然周期で10回採卵、胚盤胞までたどりつきません。他に方法はあるでしょうか？

「先日受精もしなかったのと、次の周期のFSHが30まで上がってしまって、このままこの方針で進んでよいのか悩んでいます。別の方法での可能性はあるでしょうか。」

2015.10.8

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キャンディさん(42歳)

42歳会社員です。39歳で結婚。40歳から本格的に不妊治療を始めています。卵管造影検査など諸検査は特に問題ないのですが、FSHが20以上と高いのが通常です。体外受精で新鮮胚移植を2回行いましたが、2回とも陰性でした。
それ以降は胚盤胞移植を勧められて採卵をしてきていますが10回ほど採卵をしても胚盤胞手前でストップしてしまいます。毎回D3のFSHが20以上なので自然周期で取れるのは大概1個です。
ドクターからはよい卵に巡り合えれば可能性はあるといわれていますが、先日受精もしなかったのと、次の周期のFSHが30まで上がってしまって、このままこの方針で進んでよいのか悩んでいます。別の方法での可能性はあるでしょうか。転院することを考えた場合、自然周期以外でどういう方法を採用している医院を選んだらよいでしょうか。

お話を伺った先生のご紹介

蔵本武志　先生 (蔵本ウイメンズクリニック)

我が国では夫婦の10～15％が「不妊症」であると言われています。不妊であるため不安になったり、周囲からプレッシャーを受けるなど、言葉では表現できない悩みもあると思います。現在では、不妊治療の分野も飛躍的な進歩を遂げ、以前ではあきらめざるを得なかった症状でも赤ちゃんを授かることの出来る時代になっています。
当院は、21世紀における理想の生殖医療を目指し、さらなるレベルアップを図るため、2003年10月に生殖医療センタービルを建設しました。ご夫婦のお気持ちや考えを尊重しながら、患者様お一人お一人に適切な治療を心と体のケアという側面から段階的に行っています。私をはじめとしたスタッフ一同が最高の医療を駆使して治療にあたります。気持ちをリラックスさせて、ご一緒にがんばりましょう。
昭和27年4月29日生まれ。
山口県柳井市出身。
日本産科婦人科学会専門医、日本不妊学会評議員、日本受精着床学会評議員、日本不妊カウンセリング学会監事、アメリカ、ヨーロッパ生殖医学会（ASRM、 ESHRE）会員、博多区医師会理事、ＪＩＳＡＲＴ理事、福岡生殖医学懇話会代表世話人、日本生殖医学会生殖医療専門医、福岡県医師会母体保護法指定医師、九州大学特任講師

≫ 蔵本ウイメンズクリニック

月経初期の血中FSH値が高いのは卵巣機能が低下しつつあるのでしょうね。
FSH値が15を超えると発育卵胞は１個しか採れません。
正常値上限の10近くまで持って行くのが必要です。そこで方法としては
1～2周期カウフマン療法を行い、投与終了後３～４日後に
月経開始の有無にかかわらず、エコー検査、ホルモン検査を行い、小さな卵胞(胞状卵胞)が3～4個見え、FSHが12以下であれば低卵巣刺激法をします。
卵胞径が15㎜以上でLH値が10以上となるようでしたら、
時々GnRHアンタゴニストを皮下注射し、Lh値を下げて卵胞径が18㎜以上（19㎜）で
GnRHアゴニストのスプレー、またはHCGに切り替えて採卵します。
カウフマン療法で時間がかかるようなら、充分な水分摂取と共に
ソフィアAなどの中用量ピルを６～７日間、その後、
エストロゲン製剤を1日１～２錠服用してエストロゲン値を保ちながら
FSH、LHを下げます。ソフィアＡ服用終了４日目にホルモン検査、エコー検査を行います。
そこで上記の条件ならやはり低卵巣刺激法を開始しても良いかと思います。
ピルはFSHを一時的に下げますが、エストロゲンも下げるため、
卵胞発育が不良となることがあります。そのため、エストロゲン製剤を
少し加えて、血中エストロゲン値を下げないようにしています。
ただし、ピルやエストロゲン製剤は静脈血栓症のリスクがあるので、
十分に水分摂取を行い、体を動かすようにしましょう。
ただ、残念ながら40歳以上の方の卵子は染色体異常も70％と多く、
胚盤胞まで発育しない胚も多くあります。
採卵後2～3日目の胚が非常に良好胚である時のみ、
胚盤胞までの培養を試みられても良いのではないでしょうか。