卵子が受精し、分割を進めていくには、排卵前つまり卵胞の発育段階で効率よく栄養を蓄える必要があります。
卵胞および卵子は、卵胞液から栄養分を吸収します。その卵胞液は何から作られるかというと、私達の全身を巡っている血液です。
卵巣は、親指の先程の大きさですが、そこには細かい血管が網の目のようにはりめぐらされています。ここを通る血液が卵胞液となり、卵胞および卵子に栄養を送ります。また、発育の過程で出た老廃物も回収してくれるのです。
つまり、卵の質を良くするなら、この卵胞液の元となる血液がキレイで栄養に富んだものであることと、血液の流れがスムーズでないといけないと思います。
反対に、血管が詰まっていたり、血液がドロドロしていたり、冷えていると、血液の滞りが生じます。この状態を東洋医学の言葉では「瘀血(おけつ)」と言います。瘀血では、卵胞への充分な栄養がゆき渡らず、質の良い卵となるのは難しいでしょう。
臨床経験から、手足の冷え、皮膚のカサつきや吹き出物、生理痛、生理不順、生理の血に塊が見られたり、子宮筋腫や卵巣のう腫を持つ方の中には、瘀血体質の方が多くいらっしゃいます。血液は全身を巡っていますので、体で起きていることは、おそらく卵巣でも同じことが起こっていると考えられるのです。
では、瘀血を改善していく方法とは何でしょうか?
一つ目は鍼灸です。鍼灸は血流を良くすることが得意です。
卵胞は約2〜3ヶ月かけて発育します。ですから、この期間に充分に栄養を蓄えられるよう、定期的に鍼灸治療を行うのが良いでしょう。当院には週に1回程度のペースで来院されている方が多くいらっしゃいます。加えて、胚移植日の鍼治療で妊娠率が向上したというデータがありますので、その時期の治療もお勧めしています。
二つ目は食事です。ご自身で口にしたものが血液を作ります。糖分や脂肪分など血液がドロドロになるような食品や、私達の体の中で利用しきれない食品添加物等を避けて、質の良い食事を取ることが必要です。
よもぎさんも飲まれている婦宝当帰膠は、血虚(けっきょ)体質を改善するもので、毎周期の生理で血を消耗している女性にとって欠かせない漢方薬であるのは間違いありません。しかし卵子の質を良くするのであれば、瘀血の改善をするのが近道かと思います。
また、生理が始まってから排卵までの日数が、早過ぎても遅過ぎても質の良い卵とは言えません。卵の発育や排卵をコントロールしているホルモンも血液で運ばれますから、瘀血体質ですと運搬がスムーズに行えなくなってしまいます。
鍼灸治療の他にも、体をを冷やさない、質の良い食事をとる、ホルモンバランスが整うような規則正しい生活をするなど、ご自身ででして頂く事はあります。よもぎさんの前向きな姿勢が、妊娠へと繋がるよう心より願っております。