まったく排卵がない多嚢胞性卵巣症候群ですが、改善できる良い漢方はありますか?
相談者
えれくとろさん(27歳)
■ 重度の多嚢胞性症候群(PCOS)で、まったく排卵がない状態です。現在クロミッドの治療をしているのですが、自ら体質改善をしなければと思っています。PCOSにも効果のある漢方はあるのでしょうか?あいまいな質問で申し訳ないですが、よろしくお願いします。
カウンセリングが効き目に反映されるのが漢方。適切な漢方薬と養生が体質改善につながります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の改善、その先の妊娠をふまえた漢方相談は、私のところでも大変多いのです。クロミッドなどを服薬しても反応が低く、なかなか改善が見られなくて悩んでいる方も多いですね。また、薬を飲んでいればなんとか反応しているけど、薬による刺激がなければ月経不順に戻ってしまう、という声もよく耳にします。
自力で成熟卵胞ができ、スムーズに排卵をするために「体の力」を高める
一言でPCOSといっても、月経周期に大きな乱れがない方もいれば、年に数回しか月経がこない方もいます。PCOSの場合は、基礎体温で低温期が長く続き、不定期に排卵しそうな動向があるのに排卵にいたらず、排卵日が予測しづらい状況がみられます。初潮以来の月経不順を薬でコントロールしてこられた、えれくとろんさんが思っているように、自力で成熟卵胞ができて、人工的な(排卵誘発剤など)刺激がなくてもスムーズに排卵できるには「体の力」を高めることが重要になります。
PCOSは卵胞の成熟に関わるホルモンの働きや卵が育つ卵巣内環境、そして、排卵に関わるホルモンバランスや血流などの連携がうまくいかないことが原因とふまえて、漢方薬で対処していくのが良いのではないでしょうか。
十分な睡眠、疲労やストレスをためこまない、規則正しい生活リズムを心がける
具体的には、卵胞の成熟やホルモン活動に関わる「腎精」を養う「補腎薬」、血流を整え排卵を取り巻く環境を改善するための「駆瘀血薬」を中心に、状況に合わせた漢方薬を継続的に服用していくことで、順調に排卵を迎え、月経周期が安定する体質改善を目指していきます。日常生活では「睡眠を十分にとる」、「疲労やストレスをためこまない」、「規則正しい生活リズム」を心がけます。また、食事では甘いものや炭水化物を摂りすぎないことや冷たいもの、生ものなど体を冷やすものは控えることが大切になります。生活習慣やストレスは本人や家族が思っている以上に根深く、一人で解決しようと思うほど逆効果。子宝の先生やパートナーと二人三脚で一緒に乗り切ってほしいですね。
かしたに 陽子先生
漢方の一陽館薬局店主。漢方薬生薬認定薬剤師。学会認定不妊カウンセラー。経験と実績に基づいた不妊・子宝相談は、治療方針から体質改善まで、一人ひとりの状況に合わせた相談で定評がある。全国各地からお客様が相談にいらっしゃるのも特徴。漢方相談は予約制。