生理がなく、精神科の薬も服用中。妊娠できますか?
コラム 不妊治療
生理がなく、精神科の薬も服用中。妊娠できますか?
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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。
- ゆうやんさん(34歳)からの相談
生理がきません - 生理周期が今日で65日にもなりますが、いっこうに生理がくる気配がありません。もうこのまま生理がこないのではないかと不安です。結婚して妊活もしていますが、生理が来ないので意味があるのか疑問です。精神科にも通っていて、今は妊婦服用不可能な予防薬を服用しています。「妊娠した時点で薬を変えたり、抜いたらいい」と医師からはいわれていますが、妊娠してそのまま服用し続けると奇形児や障害児が生まれるリスクのある予防薬も。ちなみに薬はリーマス®とデパケン®、ロナセン®、アキネトン®を服用しています。近くの産婦人科へ行って相談したいのですが、夫は土曜日も仕事のため、一緒に行くことはできません。私一人でも不妊治療を進めることはできますか?
- まとめ
- ●まずは不妊に関する基本的な検査を受けて原因の究明を。
●薬の変更などをすれば、精神科と不妊の治療を両立することは可能です。
2カ月以上生理がきていないということですが。
結婚歴3カ月で、まだ病院で不妊治療は受けていないようですね。生理がきていないということは排卵もないと思われるので、おっしゃるようにこのままの状態で自己タイミングをとっても妊娠は難しいかもしれません。突然なのか、それともたびたび不順になっているのか。もしくは極端なダイエットをしたり、過度なストレスがかかっているなど、もう少し詳しく背景がわからないと原因を特定することは難しいかと思います。
現在、精神科の薬も服用しているようですが、これが生理や排卵に影響を及ぼしていることは考えられますか。
精神科で処方される薬の中にはプロラクチンの分泌が増加する薬もあります。プロラクチンは乳汁分泌ホルモンともいわれているもので、増加すると排卵障害や黄体機能不全の原因となってしまうことがあります。長期間飲み続けると生理が止まることも。
現在、ゆうやんさんが服用しているロナセン®という薬もプロラクチン値を上げてしまう作用があるようですが、ほかの薬と比べてその程度は軽いようです。妊娠する可能性がある年齢の方だったら、処方前にそのような説明は受けると思いますね。
たくさん精神科の薬を飲んでいらっしゃいますが、それらの薬が生理をこなくしているという可能性は低いように思われます。
今後、どうしたらいいのでしょうか。
お子さんを望まれているのなら、すぐに産婦人科、もしくは不妊治療専門施設を受診することをおすすめします。ご主人は仕事で一緒に行けないということですが、それならまずお一人で行かれてもいいでしょう。
採血によるホルモン検査や卵巣や子宮の検査など、不妊に関する基本的な検査を受けて、原因部位を特定します。
視床下部性の排卵障害であれば排卵誘発剤を使えば排卵させることができますし、プロラクチンの値が高ければ薬で下げることもできます。原因を究明し、排卵が起きる状態をつくっていくことが妊娠への第一歩でしょう。
精神科の病気と不妊、併行して治療していくことは可能ですか。
当院でも2つの治療を両立している患者さんはいらっしゃいます。妊活を始めるからといって、精神科の薬をすぐに止めることは難しいでしょう。ただ、ゆうやんさんも精神科の先生から説明を受けているようですが、現在服用している薬の中には妊娠中は禁忌のものも含まれています。
当院では精神科の薬を飲んでいる方は治療前に必ず申告していただき、妊娠中は止めたほうがいいものがあれば精神科の先生と相談して、ほかの薬に変えてもらうようにしています。すぐに薬を切り替えることは難しいと思うので、余裕をもってスケジュールを立てていくことが大事だと思いますね。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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