経血量が少ないと妊娠しにくいですか?
コラム 不妊治療
経血量が少ないと妊娠しにくいですか?
皆さんの治療に関する相談を全国のドクターにお聞きして、
誌面でアドバイスをお届けする人気企画「ジネコ セカンドオピニオン」。
ジネコの応援ドクターが丁寧にお答えいたします。
※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。
- みぃさん(36歳)からの相談
生理のこと - これから妊活を始めるものです。いまだかつて試したことがないので漠然と悩んでいる状態です。まずは生理のこと。もともと生理自体軽いほうでしたが、最近は2日ほど出血し、3日目には終わってしまう月があります。2日間の出血も少なくなったような気がします。基礎体温はおそらく2相、高温期も14日あります。おりものはあります。生理痛はたいていありませんが、1cmと2cmの筋腫があるといわれています。年齢的なものなのでしょうか。もしくはホルモンバランスがよくないのでしょうか。経血量が少ないと妊娠しにくいですか? また、増やすことができますか? 過少月経なのか、ただ軽いほうなのか見分けられず悩んでいます。
- まとめ
- ●卵巣の予備能が少し下がっている可能性も考えられます。
●早めに基本的な検査を受けて、今の体の状態を知っておくことが大事。
生理の期間が短くなったり、経血量が少なくなる原因として、どんなことが考えられますか。
一つは、卵巣機能不全のようなケースで、みぃさんのような状態になることがあります。現在、生理の周期は29日から38日とのこと。正常な人なら生理の間隔が長くなれば経血量は増えていきます。ところがみぃさんは、間隔は長くなっているのに経血量は減ってきている。卵巣の予備能が少し下がっているのかもしれません。このような状態を放っておくと、毎月生理はきていてもだんだん排卵しなくなってしまうこともあります。
また、婦人科系の病気が隠れていることも考えられます。たとえば子宮内膜症。この疾患になると経血量が増えるという印象があると思いますが、病変が子宮の内膜に達しているような場合は逆に経血量が少なくなることがあります。生理痛はないということですが、なかには痛みがない人もいるので可能性はないとはいえませんね。
子宮筋腫があるようですが、それが影響しているということは?
1cmと2cmの筋腫があるようですね。大きさ的には問題ないと思いますが、筋腫の場合、どこにあるかが重要になってきます。子宮内膜の中にある粘膜下筋腫だと過多月経になることが多いので、この場所ではないと想像できます。おそらく筋層内や漿膜下にできた筋腫なのでは。そうなると経血量が増減することがあります。
ただ、筋腫自体は受精卵の着床以外は大きく影響しないので、現時点では心配されることはないかと思います。
これから妊活をスタートされるそうですが。
まず、原因を見極めることが大事だと思います。年齢が36歳ということですから、なるべく早く病院で不妊に関する基本的な検査を受けることをおすすめします。ホルモンの状態は採血で調べられますが、なかでもAMH(抗ミュラー管ホルモン)の検査は受けたほうがいいでしょう。ご自身の卵巣の予備能を調べることができます。
この方の場合、すぐに治療が必要かどうか現段階ではわかりませんが、状態が悪くてもホルモン剤を服用すれば月経血の量が増え、子宮内膜も厚くなっていきます。ほかの病気と同様に早期診断・早期治療が大事。とにかく検査だけは早めに受けて、今の体の状態を知っていただきたいですね。
生理の状況は突然変わることもあるのですね。
35歳を過ぎるとホルモンバランスが変わってくるので、それが生理に影響することも少なくありません。年齢が若い方でもストレスや過度なダイエットなどで毎月きちんとこなくなることも。生理は女性の健康のバロメーター。異常や変化を感じたら基礎体温をつけて、正常な状態に戻らなければ早めに婦人科を受診するようにしましょう。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
≫ 掲載記事一覧はこちら