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低AMHで成熟卵が採れません。このまま低刺激法を続ける?

コラム 不妊治療

低AMHで成熟卵が採れません。このまま低刺激法を続ける?

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2018.12.17

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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。


ありこさん(31歳)からの相談
30代でAMHが低い人の治療方法を教えてください
卵巣の手術をしたことがあり低AMHのため低刺激法・自然周期で体外受精をしています。これまで5回の採卵をして成熟卵が採れたのは1個だけでした。体外受精なので、すべて自費。自然周期のため、採れる卵子は1つ。正直、焦っています。低AMHは低刺激しか無理とよくネットで見ますが、実際私くらいの数値でどの程度卵子が採れるのか検討もつきません。担当医からも「低刺激法しかない」と言われましたが、このまま同じ方法だと結果が出ないような気がして不安でなりません。このまま低刺激法で採卵を続けても大丈夫でしょうか?

まとめ
●毎周期の採卵で卵子は採れているので、このまま低刺激法を続けてみては。
●生活習慣の見直し、サプリ、漢方、鍼灸、レーザーなど統合医療で体質改善を。

お話を伺った先生のご紹介

江夏 宜シェン 先生(英ウィメンズクリニック)


日本産科婦人科学会専門医。2005年九州大学医学部卒業後、福岡赤十字病院病院で初期臨床研修を受ける。その後、亀田総合病院産婦人科で後期研修。2011年パルモア病院産婦人科を経て、2013年より英ウィメンズクリニックに勤務。

≫ 英ウィメンズクリニック

31歳でも低AMHの人は多いのですか?


当院にも30代でAMH(抗ミュラー管ホルモン)が低い方は時々いらっしゃいます。AMHが低くなる主な原因は、卵巣腫瘍や卵巣になんらかの合併症があって手術をされた場合です。AMH値は、基準値・正常値が設定されていないため、同じ年代でも高い人と低い人がいます。AMH値は、妊娠率と相関しないため、受精卵が得られれば、その人の年齢なりの妊娠率は期待できると考えます。


このまま低刺激法を続けていいですか?


年齢にもよりますが、一般的にはAMH1ng/ml以上であれば強めの刺激法も可能で、1ng/ml未満なら低刺激法を選ぶことが多いようです。ありこさんはAMH1ng/ml未満ですので、低刺激法が向いていると思います。強めの刺激法は卵巣自体に負担がかかりますし、費用的な負担も大きくなります。またお休みする周期を含めて結果が出るまでに時間がかかります。毎周期の低刺激法のほうが早く結果につながると思います。毎回の採卵で卵子は採れていますので、統合医療を取り入れて妊娠をめざしてはいかがでしょうか。


おすすめの統合医療を教えてください。


生活習慣病などがあれば、運動や食事など生活習慣の見直しを行い、サプリメント、漢方、鍼灸、レーザーなどを取り入れるといいでしょう。当院で行っている「スマイルビクス」のようなエクササイズやヨガなど、ご自分に合った運動で楽しく体を動かすことが大事です。オリーブオイルやナッツ、野菜、魚といった地中海食を参考に、バランスのよい食事を心がけてください。
すでにメラトニンのサプリメントを摂取されていますが、赤ワイン由来の抗酸化作用をもつレスベラトロールもおすすめです。採卵周期の時にこれを用いた抗酸化療法を必須にしている施設もあります。個人差はありますが、全体の血流を促す当帰芍薬散や温経湯など漢方薬が有用な場合もあります。さらに、子宮の血流を上げるレーザーも効果が期待できます。当院では移植前に子宮の特殊なツボにレーザーを当てることで、移植の成績が向上することを確認しています。


今後についてアドバイスをお願いします。


低刺激法と一口にいっても用いる薬には種類がいくつかありますので、薬を変えるのも一つの方法です。当院ではPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の方はクロミッド®、そのまま採卵して移植されるのであればフェマーラ®というように薬を使い分けています。そのほかにもセキソビット®やプレマリン®などもあります。
 今後、胚移植をされる場合は、その前に、もし子宮鏡検査や子宮卵管造影検査をされていないようであれば、移植までに確認しておきましょう。子宮内膜ポリープなどが見つかった場合は、移植の前に治療をされるとよいと思います。また、将来的にお子さんを2〜3人お考えでしたら、毎周期の採卵の際に受精卵を貯めておくことをおすすめします。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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