ホルモン補充療法とは?
インタビュー 女性の健康
閉経前後、更年期にさしかかると女性ホルモンの分泌量が減少し、さまざまな不調が体に出てきたりします。そんな更年期の症状を改善する方法の一つにホルモン補充療法がありますが、実際にはどのような治療法なのでしょうか。やすこレディースクリニック院長の林康子先生にわかりやすく解説していただきました。
更年期の症状はどうして起こるのか?
閉経の前後5年間が更年期という定義ですが、表れる症状は人それぞれで個人差があります。その時期になると卵巣の機能が低下し、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減ってしまいます。そこで脳が一生懸命卵胞ホルモンを出すよう卵巣に指令を出すのですが、機能がすでに衰えている卵巣はその指令に応えられません。このため十分な卵胞ホルモンが分泌されず、ホルモンや自律神経のバランスが崩れてしまい、さまざまな不快な症状が起きてしまいます。それが更年期症状(障害)と呼ばれるものです。
〈更年期のさまざまな症状〉
●顔がほてる(ホットフラッシュ)
●汗をかきやすい
●腰や手足が冷えやすい
●動悸、息切れがする
●寝つきが悪い、眠りが浅い
●怒りやすく、イライラする
●くよくよしたり、憂うつになる
●頭痛、めまい、吐き気がよくある
●疲れやすい
●肩こり、腰痛、手足の痛みがある
●腟炎、性交痛
など
典型的な更年期の症状がほてり(ホットフラッシュ)です。急にカーッと熱くなって顔がほてり、汗がとまらなくなり、動機がして息苦しくなったりします。そのほか、めまいやたちくらみ、イライラして怒りっぽくなったり不安を感じてうつ状態になったりする人も。症状の出かたも人それぞれなのが、更年期症状の大きな特徴です。
更年期の症状を軽減するためには?
ホルモン補充療法(HRT)とは?
ホルモン補充療法の効果とリスクは?
林 先生より まとめ
更年期と聞くと、自分の人生が“落ちていく”ような悪いイメージを持っている人が大半。しかしこれは、15歳前後を思春期と呼ぶのと同じで、閉経前後5年の期間を示す言葉でしかありません。卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が減ることで自律神経のバランスが崩れ、さまざまな症状を引き起こすわけですが、それも必ず終わりがくるものです。ですから、あくまで通過点ととらえ深刻にならないことが大事です。
とくにくよくよしたり、憂うつな気分が続くといったメンタル的な症状が出る人はやはり生活の見直しが重要。栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動を習慣化することでかなり改善されるはずです。
また、ここでは触れませんでしたが、漢方薬も更年期の症状を緩和するのに有効です。漢方の種類も豊富なので、自身の症状を医師にできる限り詳細に伝え、適切な漢方薬を処方してもらうようにしてください。