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HIV感染症は不妊原因になる?

インタビュー 女性の健康

HIV感染症は不妊原因になる?

HIV感染症が数年後に発症したり、不妊の原因になったりする恐れはあるのでしょうか。千代倉由子先生に教えていただきました。

2019.2.8

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若い頃の性行為で疑われるHIV感染症。数年後に発症することはあるのでしょうか? また、それが不妊の原因になる恐れはあるのでしょうか。池ノ上産婦人科の千代倉由子先生にHIV感染症の正しい知識について教えていただきました。




HIV感染症とはどんな疾患?


ジネコユーザーの方から、こんなご質問をお寄せいただきました。
この質問にお答えしながら、HIV感染症についてわかりやすくご説明していきたいと思います。


『恥ずかしながら、13年前までは遊び人ばかりとつき合っていました。
今は真面目な主人と知り合い、不妊治療をしています。 その病院で、夫婦でHIV検査を3年続けていますが陰性でした。


しかし、昨日、昔の彼氏の夢を見て思い出し、恐怖感が出てきました。 13年前の関係が、今まで検査で陰性なのに、ある日陽性になることはありますか? ネットで15年経って発病する人もいるとあったのですが。
今年も流産手術で検査をし、陰性だったのですが、夢を見てから気になって仕方ないです。』


 


「HIV」はヒト免疫不全ウイルスのことで、このウイルスに感染してしまうと体中の免疫機能が低下してしまいます。


しかし、HIVに最初に感染した段階では自覚症状はないので、自分がHIV感染者だと自覚していない無症候性のキャリアも少なくないといわれています。


免疫機能が次第に低下していくと、日和見(ひよりみ)感染といって、健康な時には抑えられていた病原性の弱い微生物やウイルスが一気に暴れ出し、悪性の腫瘤などが発生して、後天性免疫不全症候群、いわゆる「AIDS」という状態に陥ってしまいます。


HIVウイルスが発見された当初は治療法がなく、HIV感染=AIDS=死というイメージがありましたが、現在は抗HIV薬の開発が進み、ウイルスの働きを抑えたり、日和見感染にしっかり対処したりすることで、通常通り生活している患者さんも多くいらっしゃいます。


HIV感染症と不妊の因果関係は?


結論からいうと、HIV感染症やAIDSから不妊症に移行することはありません。


ただし、生殖能力がダメになるなどの直接的な影響はないのですが、免疫機能が低下することで間接的に妊娠に悪い影響を及ぼすことはあるでしょう。


前述したように日和見感染を起こすと、たとえば子宮頸管炎に罹患している人の場合、今まではたいした状態ではなかったのに免疫力が落ちて炎症が強まり、妊娠しづらい状況になることも考えられます。


それ以前に、体全体の調子が悪くなる、つまり不健康な体は妊娠にとって決していい状態とはいえません。


妊娠前に必ず感染症の検査を受けておくことが大切




ウイルス感染症は放っておくと不妊症や流産の原因になってしまうものもあるので、HIVに限らず、妊娠前に必ず感染症のチェックをしておきましょう。


最近は、梅毒やB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、成人T細胞白血病、風しん、トキソプラズマなど、これまで妊娠中に実施することが多かった感染症検査を妊娠前に前倒しする施設も増えています。


これらの疾患のほとんどは感染していてもほとんど症状はなく、気づかないうちに発症してしまうと流産や早産、赤ちゃんの障害を引き起こしてしまうこともあります。


感染がわかれば投薬で簡単に治療することもできるため、母子ともに健康な妊娠・出産を実現するために早めの検査を心がけましょう。


お話を伺った先生のご紹介

院長 千代倉 由子 先生


東邦大学医学部大学院卒業。東邦医大医学部産婦人科勤務、東邦医大周産期センター研修、青梅市立病院産婦人科勤務、日赤医療センター麻酔科研修を経て、現在は池ノ上産婦人科で診療中。女性が話しづらい不妊、避妊、性病、緊急避妊、子宮がん、乳がん、妊娠人工中絶についても気兼ねなく相談できる。最近ではファッション雑誌やマタニティ雑誌などで専門医師として紹介されている。

≫ 池ノ上産婦人科

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