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夫54歳、精子奇形率99・7%。 赤ちゃんを授かる希望は?

コラム 不妊治療

夫54歳、精子奇形率99・7%。 赤ちゃんを授かる希望は?

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2019.3.9

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※2019年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring」の記事です。


あいさん(36歳)からの相談
男性不妊
結婚して2年目、避妊をやめて1年半です。夫は54歳で、喫煙歴20年以上でしたが、この1年禁煙しています。運動嫌いで、少々肥満ぎみのBMI値です。去年からエスプレッソを、1日3杯くらい習慣的に飲んでいます。今月、初めて精液検査を行い、精子奇形率99.7%、運動率14%、正常精子率0.3%でした。私はクリニックの検査結果から異常所見は出ておらず、たまに排卵が遅れますが、年齢相応の健康状態です。健康な赤ちゃんを出産できる可能性は残されているのでしょうか? 重度の奇形率と年齢を考慮して、生活習慣を改善して状況がよくなることはありますか? 喫煙、コーヒーなど精子奇形の原因になりますか? 夫の年齢が高いので、赤ちゃんの将来の苦労を気にかけています。

まとめ
●治療を始める前に、子どもの将来について夫婦で話し合いましょう。
●妊娠を目指す時には、フレッシュな精子を使いましょう。

お話を伺った先生のご紹介

内田 昭弘 先生(内田クリニック)


島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、1987年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に携わる。1997年に内田クリニック開業。生殖医療中心の婦人科、奥様が副院長を務める内科、大阪より月1回来院の荒木先生による心理カウンセリングとサポート体制が充実している。

≫ 内田クリニック

ご主人の54歳という年齢を、先生はどのように考えますか?


年齢には、身体的年齢と社会的年齢があると考えます。まず社会的年齢の問題を考えてみましょう。定年は延びて、今は60~65歳が多いですが、65歳定年とすると子どもが20歳になったら父親は74歳。それでも望むのであれば、子どもに苦労をかけるかもしれないことを前提に、経済面の問題も二人でよく話し合い決心すること。そして、周囲のご兄弟や親戚にも、その意思を伝えておくことがあっていいと思います。


身体的年齢はどうでしょうか?


女性は、閉経という身体的な限界がありますが、男性にも限界があるという見方をすることが必要だと思います。男性は、セックスさえできればと思いがちですが、年齢からくる精子の問題は大きいです。世界保健機関(WHO)の基準は、正常な精子の割合が4%あれば96%奇形精子でも妊娠は可能となっています。ご主人は99・7%で明らかに奇形精子が多く、治療をするべき状況にあり、年齢的にものんびりしていられないですね。


先生はどんな治療を提案しますか?


人工授精から始め、1回目の精子の条件により2回目を考えます。検査の時と変わらず奇形精子が多ければ、ご夫妻の選択で体外受精もしくは顕微授精へ進みます。精子と卵子がある限り、妊娠の可能性はゼロではありません。


精子の質にかかわる習慣はありますか?


コーヒーはカフェインの問題が指摘されていますが、1日に2~3杯はいいと思います。タバコは、やめても吸う以前の体に戻れませんが、やめて妊娠を目指していくことは、ご夫婦の生活のなかでとても大切なことです。


精子の状態の改善方法はありますか?


妊娠を目指す際には、新鮮な精子を使うことが重要。禁欲期間が長いと精子頭部の遺伝情報にキズがついて、壊れてしまうことがあると言われています。やはり、禁欲期間を長くせず、できるだけ射精することが精子をいい状態にする方法の一つではないでしょうか。


精子の遺伝子異常は遺伝しますか?


遺伝する場合があるとされています。遺伝子の中には精子をつくるために絶対に必要な遺伝情報があります。その遺伝情報が欠失していると精子がつくられませんが、欠失の程度によってはごく少数つくられる場合があります。その精子で顕微授精をすることで妊娠を目指すことは可能です。
男女を決定するのは精子なので、男性になる精子をつくるために必要な遺伝情報が欠けていると、同じように精子がつくりにくいという問題が遺伝する可能性があるとされています。
ご主人のような奇形精子が多くなる病態にも遺伝情報の異常が関与している可能性はあります。最近では、「すべての病気が遺伝情報により決まっている」と言われることもありますが、今のところ明らかな遺伝情報の関与の報告はなく今後の研究が待たれます。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring
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