胚移植後に三陰交へお灸をするのは、流産の原因になるのでしょうか?
相談者
ゆいかさん(35歳)
■ 先月の29日に体外受精し、2日目に新鮮胚移植をしました。今月の1日に不妊に詳しいといわれている鍼灸院で、三陰交などへの鍼やお灸をしてもらいました。自宅での三陰交や関元へのお灸をすすめられ、計3回行いました。ところが、移植後は三陰交への鍼やお灸はしない方がいい、流産の原因になるという記事をネットで読みました。真実はどうなのか、とても不安です。
鍼灸は全身のツボを組み合わせて効果をだすから、1つのツボが流産を誘導はしない。
三陰交は子宮の血流を増加させ、生殖機能を高める補腎・補血のツボとして古来より重要とされてきました。
三陰交が流産を促すツボであれば、不妊の方への使用は禁忌となるはず
ゆいかさんの月経の状態が年齢とともに変化してきたのは、加齢による「腎気」の低下かと思われます。「腎」は、月経や卵巣機能などの生殖器系をつかさどります。また、めまいや立ちくらみをおこしたり、落ち込みやすいことから気虚や血虚、腹部瘀血 やのぼせなどもあるかと思われます。東洋医学では「五行(木・火・土・金・水)」を体と対応させ、それらのバランスを調整することで妊娠力を向上させます。鍼灸の治療は全身のツボを組み合わせて効果をだすので、1つのツボが流産を引き起こすことはないのです。三陰交が流産を促すツボであれば、不妊の方への使用は禁忌となるでしょうが、そのような事実はまったくありません。
心と体は密接に結びついているので、ゆったりした気持ちで過ごすことが大切
心配事は体を緊張させ、気・血・津液の流れがとどこおり、子宮内の環境が悪化します。安心してゆったり過ごすことで、妊娠力を高めることができます。インターネットではさまざまなうわさが事実のように書き込まれていますので、心配の種を見つけることもあるかと思います。情報に振り回される性格だからと、妊娠中不要不急なネット検索を控えた方もいました。心と体は密接に結びついています。ゆったりした気持ちで過ごし、食事はバランスよく、冷たいものは控えます。さらに薄着は避けて冷えが気になるときはしっかり保温、それでも冷えるならカイロなどで加温し
てください。しめつける服や下着は避けて、できれば靴下は五本指ソックスを履きましょう。赤ちゃんは天からの授かりものです。その赤ちゃんをお母さんがしっかり受け止めてあげることで、子宮に根を張り成長してくれます。赤ちゃんの生命力を信じ、ていねいな生活を送ることで妊娠力が向上します。ゆいかさんにコウノトリが飛んできますよう、心よりお祈りしております。
山田 紘子 先生
整形外科クリニックで鍼灸治療を学んだ後、外資系ホテル内スパ、表参道ヒルズ内スパにて、スパマネージャーとして勤務。予約の取れないセラピストとして活躍。現在八王子市に女性専用治療院を開設。東洋医学、西洋医学両方の観点から研究したオリジナルの子宝鍼灸治療を行っている。