不妊治療のために、今「知っておきたい」こと
インタビュー 不妊治療
不妊治療のために、今「知っておきたい」こと
医学の進歩とともに、日々更新される情報。ときおりは、不妊治療においても新しい風が吹くことが!そんなトピックスをまじえながら、桜十字渋谷バースクリニックの井上先生に今後期待される治療法を解説していただきます。
第一回「着床」について
着床障害の原因は、検査でもわからないことが多い
体外受精や顕微授精は、さまざまな不妊症に対し有効な治療法ですが、受精卵(胚)を移植しても「着床」しなければ妊娠は成立しません。良好な胚の移植を繰り返しても妊娠しない場合は、反復着床障害と判断されます。着床障害の原因は、胚を受け入れる子宮側にあるか、胚そのものにあるか、もしくは両方にあると考えられますが、現代の医学をもってしても原因をはっきりさせるのは非常に困難です。
胚側にある主な原因は遺伝子異常ですが、子宮側にある原因として考えられるのは、筋腫やポリープ、卵管水腫、内膜の厚みが不十分であったり、着床する時期がずれていたり、疾患によって子宮が異常な収縮を繰り返している場合などさまざまあり、それらが重なっていることもあります。これらはエコーや子宮鏡を使用しての検査である程度はわかりますが、一般的な検査だけではわからないこともしばしばです。
気付かずに進行する…慢性子宮内膜炎の意外な原因
多いのは慢性の子宮内膜炎で、反復着床不全の患者さんの約30%に認めるという報告もあります。その主な原因としては「細菌感染」の影響が疑われます。大腸菌、ブドウ球菌、淋菌、腸球菌、結核菌、連鎖球菌などによって炎症が起きると考えられています。
細菌は月経時に月経血とともに排出される場合がほとんどで、これまでは「子宮内に菌はいないだろう」と考えられていましたが、今後は細菌の有無を調べる生検も重要です。急性の場合は下腹部の痛みや発熱、不正出血、おりものの増加といった症状がありますが、慢性だと気づかないことも多いのです。抗生物質の投与などで対処できる場合がほとんどです。
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まとめ
・エコーや内視鏡などでできるだけ検査を
・慢性子宮内膜症は生検検査で早期治療
・不足しがちなビタミンDを意識して補給