不妊治療のために、今「知っておきたい」こと 2
インタビュー 不妊治療
不妊治療のために、今「知っておきたい」こと 2
連載第二回目。医学の進歩とともに、日々更新される情報。ときおりは、不妊治療においても新しい風が吹くことが!そんなトピックスをまじえながら、桜十字渋谷バースクリニックの井上先生に今後期待される治療法を解説していただきます。
第二回「ERA」とは?
着床するタイミングには、個人差がある!?
胚が着床できる子宮内膜の受容可能期間のことを、【着床の窓(ウィンドウ)=WOI】と言います。一般的には月経がはじまってから19~21日目ですが、原因不明の反復着床不全の原因のひとつとして、子宮内膜のWOIが一致していないからではないか、との説があります。2014年にスペインから報告がありました。
つまり、子宮内膜にとって受精卵を受け入れる準備が整う時期や時間帯(=窓が開かれている期間)には個人差があるため、適切な時期を見極めてから移植することによって、より妊娠率が高くなるのではないかという考え方です。着床タイミングのずれによる不妊は、30%近いのではないかとのデータもあります。
子宮内膜が準備できているかを知る検査
ERA検査のメリット・デメリット
現在では慢性子宮内膜炎検査(ALICE)と、さらに菌叢を診る検査(EMMA)をセットにすることが多くなっています。具体的には、胚移植と同じ時期に子宮内膜の組織を採取して、着床遺伝子の有無を生検するという検査です。この検査には15万円前後の費用が掛かるうえ、個人差はありますが多少の痛みもともなうことがあります。
さらに、結果が出るまでには2~4週間の期間がかかります。また、生検したとしても、タイミングがずれる場合はその都度多々あって確実ではありません。特に妊娠を望む女性が高齢の場合は、子宮内膜よりも卵子に問題があって着床しない場合が多く、残念ながらERAの検査をすることによって確実に妊娠率が上がるとは言いかねるのが現状です。
もちろんメリットも多い検査ですが、自分のケースに適しているかどうかは、担当医と直接相談されるといいでしょう。
まとめ
・35歳以下の反復着床不全の方に特に有効
・費用や痛みといったデメリットも要確認
・自分に適した検査か、担当医と相談を