若い女性に急増! 梅毒っていったいどんな病気?
インタビュー 女性の健康
近年、急激に感染者数が増加している梅毒。なかでも若い女性の患者が激増しているのが特徴です。梅毒は妊婦がもっとも注意すべき病気といわれています。そこで、アイレディースクリニック新横浜 院長の入江琢也先生に、梅毒について詳しく伺いました。
若い女性が梅毒に注意するワケは?
梅毒は1990年代以降、患者が年間1,000人を下回ったため、過去の病気とされていました。それがどういうわけか2011年頃を境に、急激に患者が増加してきたのです。827人だった2011年から年々増加し、2017年には5,820人、2018年は6,923人となり、前年より約1,100人の増加となりました。(※)
さらに懸念されるのが、現在の流行の特徴である20代前半の若い女性が増えているということです。2015年の報告患者は2010年と比べて約5倍という多さです。梅毒は20~40代の男性に多いのですが、若い女性が激増するのは異常事態と言えるでしょう。
若い女性患者が増えると、妊娠した時に胎児に母子感染する「先天梅毒」が危惧されます。先天梅毒を発症すると約4割の確率で流産や死産になるとされ、死産を免れても目や耳などに障害を抱えたり、幼少期になって心臓などに障害が出現したりするケースもあります。
今後も増加傾向が続く恐れがあり、先天梅毒を防ぐためにも、早い段階での対策が求められています。そのためには、まず多くの女性に梅毒の恐さを知って欲しいと思います。そして私たち医師は梅毒の早期診断をして、感染拡大を食い止める任務にあたっています。
(※)出典
国立感染症研究所/日本の梅毒症例の動向について(2019/01/07)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/syphilis-m/syphilis-trend.html
毎日新聞(2019/01/11)
https://mainichi.jp/articles/20190111/k00/00m/040/061000c
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まとめ
現在も先天梅毒は増加傾向で、若年妊婦や未婚、妊婦健診を受けていない女性に多いという報告があります。現在、日本で行う妊婦健診には必ず梅毒の検査はあります。定められた健診を受けていれば、早期発見できるので安心してください。
とはいえ、梅毒は特定の女性がかかる病気だと他人事にしないでほしいと思います。性風俗を利用したパートナーから感染する可能性もゼロとは言い切れません。自分の体や赤ちゃんを守るために、いつでも適切な行動をとれる女性でいてください。