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更年期世代の生理事情、 まず気をつけるのは子宮体がん

インタビュー 女性の健康

更年期世代の生理事情、 まず気をつけるのは子宮体がん

更年期になると閉経に向けて生理の状態が大きく変化します。更年期世代の生理事情について、品川寿弥先生に伺いました。

2019.4.19

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更年期になると閉経に向けて生理の状態が大きく変化します。心配しなくてもいい出血なのか、それとも婦人科受診が必要なのか、自己判断しづらいことも増えてくるようです。更年期世代の生理事情について、都立大レディースクリニック院長の品川寿弥先生に伺いました。


生理の状態が大きく変化する更年期


女性の体は成熟期から更年期にかけて卵巣の活動が徐々に低下し、女性ホルモン(特にエストロゲン)が急激に減って、体調が変化しながら閉経(※1)を迎えます。

エストロゲンが減ると、まず生理の状態が大きく変化します。排卵が起こりにくくなるので、生理の周期が不規則になり、遅れてきたり、数カ月の間隔が空いてきたりして、徐々に回数が減って閉経するケースもあれば、突然生理がなくなって閉経するケースもあります。また、生理の出血量が極端に増えたり、ダラダラと出血が続いたりと、人によって状態はさまざまです。

その変化に戸惑う方もいらっしゃれば、忙しすぎて気にしない方もいらっしゃいます。どちらにせよ「いつもの生理と違う」と感じたり、不安や疑問を抱いたら、1度検査を受けることをおすすめします。また、定期的に子宮がん検診を受けていない方も同様です。

というのは、更年期は子宮体がんを発症しやすい時期だからです。子宮体がんの兆候も更年期の生理の状態と似ていて、出血がダラダラ続いたり生理の周期が乱れることが多くあります。検査をして「子宮がんではない」と言えるようにしておくことが大切でしょう。また、良性のポリープや子宮筋腫、子宮腺筋症でも出血量が多くなります。



※1
日本女性が閉経する平均年齢は50.5歳で、その前後それぞれ5年が更年期になります。実際には個人差が大きく、早い人で40歳半ば、遅くて50歳半ばです。そして、問診時からさかのぼって最後の生理が1年以上前だと、その時点で閉経していたことになります。


更年期の出血に対して行う検査は?


まず、がんと子宮筋腫などの病気の有無を内診、超音波検査、子宮体がん検査、血液検査で調べます。

●内診(触診)…子宮や卵巣の状態を触診で調べます。
●超音波検査…出血の原因になっているポリープや子宮筋腫、子宮腺筋症がないか調べます。
●子宮体がん検査…子宮体がんは、子宮内膜がんとも呼ばれ、子宮の内側にある子宮内膜から発生する病気なので、その細胞を採って調べます。
検診で子宮がんの検査というと、子宮頸がんだけを指すこともあり、体がんの検査を行わないこともあるので注意してください。
●血液検査…出血や生理不順を引き起こしている原因が更年期なのかを知るため、ホルモン状態を調べます。ただし、採血するタイミング(生理の周期)によって数値は変動するため、参考程度になります。
また、子宮筋腫や子宮腺筋症があると出血量が多くなるので、貧血の程度を調べます。ほかに、甲状腺の働きに異常があると生理不順、イライラなど更年期症状に似た症状が出るので、血液検査で調べることもあります。


更年期の出血、どんな治療がある?


検査結果に異常がなく、心配のいらない出血だった場合は、2~3周期の生理を経過観察して、それでも患者さんが生活に困るようならホルモン補充療法(HRT)や低用量ピルで治療します。実際には、検査結果に異常がなければ、多くの患者さんは受診しなくなります。

出血の原因になっている子宮筋腫や子宮腺筋症などがある場合は、手術や薬物療法の治療を、患者さんと相談して決めます。そして悪性のがんが疑われる場合には専門病院や基幹病院を紹介し、速やかに精密検査をして治療に入ります。

なお、心配のいらない出血だったとしても、更年期の随伴症状といってほてりやのぼせ、発汗、めまい、イライラ、気分の落ち込みなどの症状が出て、生活に支障が出て困る場合は治療します。エストロゲンの減少は、生理だけでなく自律神経にも影響するため、それらの症状を引き起こします。治療にはホルモン補充療法や漢方薬、向精神薬などがあり、なにを選ぶかは患者さんとで決めます。


生理事情はみなさまざま。相談はかかりつけ医に


更年期の生理を含めた体の変化は、誰もが初めて経験することです。不安や疑問は、かかりつけの婦人科医に相談するとよいでしょう。生理の状態は一人ひとり違うので、同世代や先輩女性と同じことをしても解決するとは限らないからです。

また、先述したように子宮体がんは更年期を機に発症率が高くなります。現在、更年期を迎えている女性は、子どもの中学受験を控えていたり、親の介護中だったり、仕事では中間管理職として忙しいのが特徴です。そのため時間調整がつかず、受診を先延ばしにしたりして、なかには検診すら受けない方もいらっしゃいます。

仮にがんと診断された時、ご本人は突然発症したと思いがちですが、がんになるまではかなりの時間を要します。検診などで婦人科にかかっていれば早期発見が可能な場合もあります。更年期にさしかかったら、乳がんと子宮体がんの検査は定期的に受けることをおすすめします。


お話を伺った先生のご紹介

品川寿弥先生(都立大レディースクリニック)


東京都出身。埼玉医科大学医学部卒。聖路加国際病院産婦人科、日本医科大学付属病院産婦人科を経て、2003年横浜赤十字病院産婦人科副部長、05年日本医科大学付属病院産婦人科医局長、非常勤講師。12年より都立墨東病院産婦人科部長、14年より都立広尾病院産婦人科部長。16年9月、都立レディースクリニックを開業。地域のかかりつけ医として生理に関する悩みから更年期障害まで幅広く診療。最新の医療器材を揃えながらも清潔で温かいクリニックを目指している。

≫ 都立大レディースクリニック

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