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胚移植陰性後、hCG値が微増し続けています

コラム 不妊治療

胚移植陰性後、hCG値が微増し続けています

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2019.6.27

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※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。


華さん(34歳)からの相談
陰性後、微増するhCG
1回目の移植は、10月末に判定日hCG10mIU/mlで陰性となりました。「生理が始まったらまた来てください」と病院で言われ、薬をやめて4日後に生理のような出血が始まったので受診したところ、hCGが31mIU/mlまで上がっていました。その時は「ダメだった受精卵がうまく外に出て行かず、どこかに引っかかっているのかなぁ……」と先生に言われました。その後、hCG値は74~150mIU/mlと少しずつ上がって出血も続いています。昨日、先生には「今の数値ではエコーに何も映らないから様子をみるしかない。2週間後にまた来てください。今は一応妊娠6週になります」と言われ、不安とむなしさで涙が出てしまいました。今の症状は出血、生理痛のような鈍痛や時折鋭い痛み、悪阻のようなものも始まっています。これはどんな状態なのですか?

まとめ
●出血が続くのにhCG値が上昇している場合、異所性妊娠の可能性が。
●3~4日おきにhCGを計測し500mIU/mlを超えたら妊娠部位の特定を。

お話を伺った先生のご紹介

岡 親弘 先生(東京HARTクリニック)


慶應義塾大学医学部卒業。その後、同大学産婦人科に入局。不妊症・不育症の研究治療を行い、「ローズレディースクリニック等々力」院長を経て、2000年に不妊症専門クリニック「東京HARTクリニック」を開院。2005年アメリカ生殖医学会にて、ヒト胚盤胞のガラス化保存法とASの有効性についてHARTグループとして発表し、日本人で初めて表彰される。

≫ 東京HARTクリニック

hCGとはどのようなホルモン? 妊娠判定時における目安は?


hCG(ヒト絨毛ゴナドトロピン)は妊娠後の胎盤の絨毛組織から産生されるホルモンです。血中の数値を計測することで、胎盤になる細胞が多いかどうか、つまり妊娠しているかどうかを判断することができます。当院では、胚移植の2週間後に血中のhCGを測り、妊娠を判定。その時の基礎値はだいたい20 mIU / ml程度としています。


華さんは陰性後、出血とともにhCG値が微増し続けているということですが。


通常、子宮内で妊娠し、出血している場合、hCGの値は下がっていくはずです。妊娠6週という仮定で150 mIU / mlはかなり低い数値です。それでも徐々に上がっているということは主治医の推測通りどこかで妊娠が続いている可能性があり、出血も止まらないのでしょう。おそらく卵管や頸管、腹腔などの子宮外に着床(異所性妊娠)していると考えられます。
異所性妊娠の場合、最初はhCG値が低いのです。低いとその後は頻繁に計測しないのが普通です。次周期の治療時に子宮内膜以外に着床した受精卵が消えていることを確認して治療を始めます。見落としてしまうと卵管や頸管に着床した受精卵が薬の刺激で育ち、破裂してしまうことがあります。その点も留意しておくことが必要かと思います。


異所性妊娠の場合、それがわかるような自覚症状はありますか。


華さんは生理痛のような鈍痛のほか、時々強い痛みもあるようですね。このように腹痛が出る方もいますし、症状がまったくないという方もいらっしゃいます。受精卵がどのように育っているかによって異なるようで、子宮外でも育つと症状が出ないことが多いようですね。


今後、どのように検査や治療をしていけばいいのでしょうか。


卵管などで育っていると、妊娠7週頃になると出血量が増えていきます。まだエコーに映らないので、確かにこのまま経過を見ていくしかないのですが、2週間後に診察するというのは少し遅い気がしますね。hCG値が明らかに上昇傾向にあるということなら、3~4日おきなど、もう少し細かいスパンで診ていったほうがいいのでは。hCG値が500 mIU / mlを超えてきたら、妊娠している場所を画像で特定し、腹腔鏡手術などで異所性妊娠部位を摘出する処置を行います。
異所性妊娠は全妊娠の1%程度に発生する事象で、なぜ起こってしまうのかはっきりした原因はまだ解明されていません。せっかく妊娠されたのにショックだとは思いますが、あまり考えすぎないほうがいいでしょう。もし手術となって卵管等を摘出することになっても、体外受精なら次回以降の治療で妊娠することは可能なので、まずは経過を観察し、適切な処置を受けていただきたいと思います。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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