BT14でも胎囊が見えません。双角子宮が原因でしょうか?
コラム 不妊治療
BT14でも胎囊が見えません。双角子宮が原因でしょうか?
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※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。
- そらさん(39歳)からの相談
胎囊が見えない - 結婚3年目で、不妊治療を始めて1年になります。今月3回目の胚盤胞移植を行いました。BT7でhCG51.2mIU/ml、本日BT14でhCG1102.0mIU/mlと順調にhCGは上昇していますが、胎囊が確認できませんでした。hCGが1000mIU/mlを超えれば胎囊が確認できると聞いたことがあるので不安です。次の診察は1週間後です。過去に2度の流産経験があり、双角子宮、不育症もあります。BT14で胎囊が確認できないのは、何か問題があるからでしょうか。
- まとめ
- ●胎囊(胎児)の成長も個体差があるので、大らかな気持ちで待って。
●双角子宮、流産経験があっても妊娠は可能。心配しすぎないこと。
まずは、BT後の経過について。
BTとは、IVF(体外受精)ーBT(blastocysttransfer)=胚盤胞移植のこと。BT7なら、胚盤胞移植をしてから7日目、BT14は14日目ということです。胚盤胞移植の場合は採卵日から約2週間で受精、受精させてから体外で5~6日育て、着床時期の胚を戻した日がBT0ということになるので、通常の妊娠として換算するとしたら、BT14は「+2週間+約5日」で約33日目ということになります。
BT14、hCG1102mIU/mlですが、胎囊が確認できずに不安に思っておられます。
数値としては十分ですが、BT14では見えるか見えないかのギリギリの日数です。見えないこともあって当然ですので、どうぞご心配なさらないでください。当院も以前は同じペースで検査していましたが、現在ではBT9、BT16で検査するように変更しています。BT16であればほぼ確実に胎囊を確認することができるからです。なので、相談者のそらさんも気持ちに余裕をもってもう少し様子を見てはいかがでしょうか。
双角子宮についても教えてください。
双角子宮だと、位置によっては余計に胎囊が見えづらいかもしれません。双角子宮は一種の子宮の奇形で、その昔は不妊の原因と疑われましたが、現在ではそれほど妊娠には影響しないと考えられています。
しかし、双角子宮だと流産する確率は通常よりもやや高くはなるので、通常以上に慎重に経過を観察する必要はあります。それでも、双角子宮といっても程度があり、重度のケースはまれで、MRI検査までしないとわかりません。ほとんどは中隔子宮という軽度なものです。重度の場合は手術で治す方法もありますが、39歳というご年齢を考えると手術してその後の経過を待つ時間がもったいない。これまでどおり、体外受精を続けることのほうが妊娠への早道だと思います。
不育症もあるとのことです。
流産を繰り返す反復流産と、不育症とはまったく別のものです。どういった経緯で不育症と診断されたのかはわかりませんが、不育症と断定するのは難しく、特効薬的な治療法もありません。今回のBTを含め、今後も流産が続くのであれば、精密検査をしたうえで主治医との相談をおすすめします。
アドバイスがあればお願いします。
個人個人の成長過程が違うように、胎児の成長にも個性があるので、「hCG1000 mIU / mlだったら胎囊が見えるはず!」と決めつけず、大らかな気持ちで成長を待ってあげてください。双角子宮や不育症と診断されたら心配になるでしょうけれど、積極的に手術や治療をすすめられていないのであれば、あまり気になさらないことです。
ご年齢からしてほかにも不妊の原因があると考えられるので、念のために絨毛検査などもしておくとよいでしょう。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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