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【40代の不妊治療】2度の稽留流産を経験。不育症検査は必要ないですか?

コラム 不妊治療

【40代の不妊治療】2度の稽留流産を経験。不育症検査は必要ないですか?

2度の稽留流産を経験し、不育症検査を希望していますが、主治医からは様子をみましょうとのこと。40代の治療では不育症検査はあまり必要ないのでしょうか。レディースクリニック北浜の奥裕嗣先生にお話を伺いました。

2019.7.6

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※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。


kuma3-boochanさん(40歳)からの相談
相談内容
昨年の夏、今年の春、2度の稽留流産を経験しました。2度目の流産手術後の経過観察の際に、担当医に「不育症の検査をしたい」とお願いしましたが、3度目まで様子をみるように言われ、「年齢も若くないから…」と言われてしまいました。昨年の春に結婚し、主人が50歳、私が40歳と夫婦揃って若くないため、お互いに何かしら原因あるとは思っています。ネットなどでいろいろ調べてお願いしたのですが、現段階で不育症の検査をする必要は本当にないのでしょうか。3度目に流産することはつらいですし、主人に申し訳なく、どうすればいいのか悩んでいます。


●これまでの治療データ
【検査・治療歴】不明

【妊娠歴】稽留流産2回

【精子データ】不明(ご主人は50歳)

【サプリメントの使用】なし

Doctor’s Advice
●1回でも流産した場合はPOC検査を受けて。
●染色体異常による流産が連続した可能性も。
●今後の流産予防のために不育症検査を。

お話を伺った先生のご紹介

奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜)


1992 年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopause にて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF 大阪クリニック勤務、IVF なんばクリニック副院長を経て、2010 年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。

≫ レディースクリニック北浜

ーー不育症検査を受けるケースやタイミングについて教えてください。


2回以上の流産を繰り返すと不育症が疑われ、希望する方には不育症検査を行います。ただし、流産の原因の60〜70%は染色体異常で、残りの30〜40%が正常か他の原因によるものです。40歳以上の方は、染色体異常の確率が80%以上と高くなることから、ご相談者の流産は染色体異常2回連続している可能性もあります。
当院は、1回でも流産された方に流死産絨毛染色体(POC)検査をおすすめしています。1回目の流産でも、この検査で染色体が正常であれば、ほかの原因が考えられます。その場合は早めの不育症検査をおすすめします。一方で、染色体異常が続いている場合は、不育症の可能性は低くなり、不育症検査を必ずしも受ける必要はなくなります。おそらく、担当の先生はこのような理由で、「年齢も高いので、3度目まで様子をみましょう」とおっしゃったのでしょう。
ご相談者についてはPOCの検査歴や結果がわかりませんので、染色体異常が続いている可能性は否定できません。ただ、すでに流産を2回繰り返していらっしゃいます。流産の手術を繰り返すと子宮内膜が薄くなり、着床しにくくなったり、精神的なダメージも大きくなります。次の流産を予防するには、不育症検査を早めに受けるなど、主治医とよく話し合ってください。


ーー不育症検査について教えてください


不育症検査は1回の採血で2〜3週間後に結果がわかります。おもに次の検査項目があります。

●ご夫婦の相性を調べる検査(NK細胞活性)
●赤ちゃんを養う血管の詰まりや血液の固まりやすさを調べる検査(IgG抗体、IgM抗体、プロテインS活性、プロテインC活性など)
●お母さんと赤ちゃんの相性を調べる検査(抗核抗体、抗DNA抗体など)
●ご夫婦の染色体異常を調べる検査(「転座型」と呼ばれる染色体異常など)
●その他(PRL、甲状腺機能検査など)

治療方針は原因によって異なりますが、それぞれの原因に沿った治療によって流産のリスクを少なくすることができます。たとえば、血管の詰まりや血液が固まりやすい場合は、血栓を予防するヘパリンやアスピリン療法。ご夫婦間や母体と赤ちゃんとの相性に問題がある免疫異常の場合は、プレドニン療法のほか、柴苓湯や加味逍遥散などの漢方を併用します。


ーー不育症検査・治療を受けるほかに、治療の選択肢はありますか?


ご相談者の現在の治療方法がわかりませんが、タイミング療法なら、体外受精も一つの選択です。体外受精であれば、少しでも若い年齢の受精卵を貯めておくことができます。たとえば、42歳になっても40歳の時の卵子で治療できるメリットは大きいと思います。
また、その方に合う排卵誘発法でたくさんの卵子が採れれば、早く治療に進んでいけます。さらに、お一人目を出産後に、凍結胚が残っていれば、お二人目の赤ちゃんを望むこともできます。


ーー40歳以上の方の治療で、先生が心がけていらっしゃることはありますか?


40歳以上の方が初診でお見えになった時は、最初からステップアップを含め、早期に治療を開始する必要があることをお伝えしています。40歳以上の方の治療は時間との勝負です。しかし、年齢が高くなると赤ちゃんを授かりにくくなるということをご存じない方も多く、早めに治療に進んでいただくための情報提供が大切だと思っています。
一般的には、ご結婚後1年以内に90%の方が赤ちゃんを授かりますが、40歳以上の方になると、その確率は10%程度です。40歳の方の受精卵は約80%は染色体異常になります。厳しい言い方になりますが、40歳以上の方は、ご結婚された時点で不妊症と考えられたほうがいいでしょう。早期の受診をおすすめします。
さらに、40歳の方のダウン症の出産確率は1 / 67。妊娠しても約40%の方は流産の可能性があります。まずは、このことを患者さんに理解していただいて、そのうえで、いかに早く治療に進まれるか、少しでも確率の高い治療を選択されるかがポイントになってくると思います。


先生から
染色体異常による流産が2回続いている可能性は否定できません。
今後の流産を予防するために不育症検査を受けられるのも一つ

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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