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【Q&A】低AMHですが、望みはありますか?ー浅田先生

専門医Q&A 不妊治療

【Q&A】低AMHですが、望みはありますか?ー浅田先生

Q&Aサービスにいただいた相談、第3弾! 治療直前まで喫煙習慣があり、低AMH。望みはありますか?浅田先生からご回答いただきました。

2019.7.1

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相談者:sakuraさん(41歳)



低AMHです(0.54)望みはありますでしょうか

低刺激療法(内服)で成熟卵胞1個、採卵1回で、変性卵でした。
「AMH≠妊娠成立」とは言えないと説明を受けていますが、やはり、そもそも卵巣機能が低すぎるので、なかなか難しいのかなと思っています。勿論、まだ始めたばかりで一回の採卵で可能性を否定することはしたくありませんので、次のクールを迎えるにあたり、自助努力できることがあれば取り組んでいきたいです。
実は、治療を始める直前まで喫煙習慣がありました。内服治療が始まってからは一切喫煙していませんが、そういった生活習慣も影響ありますでしょうか。
(AMH値が低いのは喫煙が関係していると推測しています。。。)



低AMHについて




sakuraさんが説明を受けた通り、AMH=妊娠成立ではありません。AMHは生まれる前にできた卵子が、卵巣の中にどれだけの数が残っているかの目安(卵巣予備能)となります。
一方、受精卵ができ妊娠する確率は卵子の老化の程度、つまり年齢が大きな要素となります。AMH値が2~3 ng/ml以上あれば、調節卵巣刺激の注射を毎日打つことにより、数多くの卵子が採れます。0.54ng/mlということは、調節卵巣刺激の注射を打っても、少ない数の卵子しか採ることができません。


AMH値の低い人は、注射を打っても注射の費用に見合う結果を得ることができないため、内服薬を中心とした低卵巣刺激となります。sakuraさんのAMH値は低い中でも、そんなに悪くはないので、内服薬に注射を少し加えることも考えられます。


排卵の約半年前から原始卵胞は育ち始めています。偶然2~3個の卵子が採れることもあれば1個の卵子しか採れないなど、これからも採卵できる卵子の数は不安定だと思います。


採卵1回で変性卵だったということですが、変性卵は一定の割合で見られます。若い人で多くの卵子が採れた人でも変性卵は含まれます。1回の採卵で多くの卵子を採ることができれば1個の変性卵が含まれていても、使用可能な卵子も数多くあるため、良い結果に繋がります。
sakuraさんはAMH値が低いため低卵巣刺激をされ、1個採れたがその1個が変性卵だったため、精神的ダメージが大きくなっていると思います。


 


次クールに向けて、できることはありますか?


自助努力できることがあれば取り組まれたい、ということですが、結論から言えば、できることは何もありません。


子宮は老化しませんが、卵巣の中の卵子は生まれる前に一度作られると二度と作られることはないため、卵子は年齢とともに老化していきます。


今後は41年生き残っている卵子を使用して治療していくことになります。


 


治療前の喫煙が影響することはありますか?


喫煙習慣を心配されていますが、喫煙が不妊に繋がるという科学的データはありません。また、喫煙していた民族が喫煙のため絶滅したという話も聞いたことがありません。


「プレコンセプションケア」という言葉がありますが、これは将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことを言います。発展途上国で母親の栄養失調や貧血は、生まれた赤ちゃんに悪い影響を与えることが分かっており、喫煙もそのひとつです。規則正しい生活習慣や喫煙を止めることで妊娠率が上がることはありませんが、妊娠してから、へその緒でつながった赤ちゃんのために、今からの禁煙されることは良いことだと思います。


不妊治療は喫煙や生活習慣病との関係など様々な情報が膨大にありますが、基本的には卵子の問題が一番大きな要素であり、その他の要素は殆ど無視しても問題ないような要素です。ご自身が何をしなければならないのか、何がどれだけ重要なのかを考えてほしいと思います。


 


浅田先生よりメッセージ


sakuraさんにとって今、何が重要かといえば“数多くの卵を凍結して残すこと”になると思います。卵子を凍結すれば卵子の老化はその時点で止まります。


卵子を若返らせる治療法はありません。高齢になれば胚盤胞に到達する確率も低くなるため、当院では胚盤胞培養に拘らず、40歳を過ぎた患者さまには前核期で凍結し、それが3~4個たまれば融かして、その中から良い卵を選び移植する治療法を行っています。


41~42歳で不妊治療をしている患者さまは、本当に数多くいらっしゃるので“妊娠できない”とは思いません。
このまま治療を続けて頂ければと思います。


 


お話を伺った先生のご紹介

浅田 義正 先生


名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の勝川、名古屋駅前のほか、昨年5月には東京・品川駅前にもクリニックを開院。

≫ 浅田レディースクリニック


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