月経ではない出血は着床出血でしょうか?
コラム 不妊治療
月経ではない出血は着床出血でしょうか?
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※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。
- カリンさん(28歳)からの相談
▶高温期に少量の出血がありました - 口唇ヘルペスと生理の数日前に感じる下腹部痛があったのでトイレに行ったところ、少量の出血があり、下着に血がついていました。色は、鮮血よりもやや薄めでピンクよりは濃く茶色に近い色です。帰省のため数日間体温を測っていませんでしたが、今日でおそらく高温期7~8日目あたりです。月経周期は26~30日のため、早くても生理までまだ8日はあります。元々、不妊治療クリニックに通っていたのですが、ここ3カ月は忙しくて通院できていませんでした。高温期7~8日目あたりで着床出血の可能性はあるのでしょうか。また、今の段階で妊娠検査薬を使ってもまだ反応は出ないですよね? 近くに病院がないため、不安で仕方ありません。
- まとめ
- ●高温期は出血しやすい時期、まずは、生理予定日まで様子をみましょう。
●多量の出血ならポリープなどの可能性あり。すぐに病院へ。
着床出血とはどのような症状をいうのでしょうか。
医学的な定義はありませんが、高温期7~8日目あたりで起きた出血なら、受精卵ができたことによる着床出血かもしれません。組織融解説といって、受精卵ができるとそれが少しずつ子宮に移動し、子宮内膜に着床します。その過程で子宮内膜を溶かすため、出血が起きるといわれています。もしくは、妊娠した際に分泌されるはずのホルモン(hCG)が足りない場合、hCGによって保たれるはずの黄体ホルモンに影響を及ぼし、出血がみられる場合もあります。いずれにせよ、高温期は出血しやすい時期です。
もし着床出血ではないとすれば、ほかに考えられることはありますか。
高温期によく発生しやすいのが、子宮腟部びらんによる出血です。びらんの部位は炎症や不正出血を起こしやすいことがあります。また、子宮頸管ポリープや異形成上皮の可能性もないとはいえません。まれですが子宮頸がんの場合も出血しやすいことがあります。
それでは、高温期に出血があった場合、着床出血なのかその他の症状なのかを見分ける方法はあるのでしょうか。
必ずしも自己判断で済ませてはいけませんが、多量ではなく少量の出血が短期間あった場合は、まずその7~10日後に月経があるかどうかが判断の分かれ目になります。月経がなければ妊娠の可能性があり、月経があり、なおかつまだ出血が続く場合は子宮頸管ポリープなどの可能性があるため早めに病院で診てもらいましょう。
また、ご質問にある妊娠検査薬の使用についてですが、予定される月経開始日以降では妊娠検査薬が陽性となる可能性がありますが、陽性反応を十分に示す濃度は、妊娠5週以降となり、計算では月経開始予定日の1週間後となります。ですから、カリンさんがおっしゃるとおり、高温期7~8日目で妊娠検査薬を使用しても正しい判定は出ないので、月経開始予定日の1週間後に測ってみてください。
病院に行きづらい環境にあるなどの理由で、自宅でタイミングをみるなどして自身で妊活に取り組んでいる方へのアドバイスをお願いします。
基礎体温は体の状態を把握するための目安になりますので、できれば毎日測りたいですね。また、少量の出血が一時的に起こった程度なら、それほど気にしなくてもいいでしょう。ただし、少量でも出血がたとえば1カ月も続く、あるいは量が多い場合など、異常だと感じたら、子宮頸管ポリープなどの可能性もあるので、すぐに病院に行ってください。自己判断で済ませず、気になる場合は早めに病院に行くよう心がけておきましょう。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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