胎囊が確認できたというのに、ｈCG値が伸びないのはなぜ？
コラム 不妊治療
胎囊が確認できたというのに、ｈCG値が伸びないのはなぜ？
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※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。
- ぽこさん（38歳）からの相談
▶心拍確認。ｈＣＧが低すぎる -
胚盤胞移植で陽性判定をもらい6週目になります。今回はホルモン補充での移植で４AAの胚盤胞でした。BT6の中間判定ではhCG20mlU/mlでしたが、BT12の本判定では60mlU/mlで、本来であれば10倍以上上がるはずの数値がわずか3倍でした。そのため、諦めかけていたのですが、次の診察BT19ではhCGが1500mlU/mlに増え、さらに6㎜ほどの胎囊も確認できました。BT26では胎囊1.4cmとなり、小さいながら心拍も見えました。ところが、hCGはまったく増えません。インターネットで調べてもこのようなケースはなく、今の状況が理解できません。どのような問題が考えられますか？
- まとめ
- ●hCGの数値はあくまでも目安。個人差が大きいので気にしすぎない。
●マニュアルどおりに進まないのが不妊治療。情報に振り回されないで。
ＢＴ後何日目で妊娠判定が可能ですか。またｈCGによる妊娠判定法について教えてください。
妊娠の陽性判定は、臨床的には「胎囊が確認できた時」、化学的には「ｈCGの値が上昇した時」で、判断します。
ＢＴ（blastocystーtransfer）とは胚盤胞移植のことで、ＢＴ６は胚盤胞移植後６日目、ＢＴ12なら12日目。胚盤胞移植の場合は、採卵して体外受精させて5日間培養して移植になります。通常の妊娠の計算でいくと排卵日（採卵日）が２ｗ０ｄと考え、胚盤胞移植日がＢＴ０ ２ｗ５ｄとなります。ＢＴ６は３ｗ４ｄ、ＢＴ12は４ｗ３ｄ。この時点ではhCGは陽性になりますが、まだ胎囊は確認できないのが普通です。ＢＴ19 ５ｗ３ｄ頃であればほぼ胎囊が見えるようになります。
ｈCGはヒト絨毛（胎盤）ゴナドトロピンというホルモンで、妊娠すると血中濃度が増加することから、妊娠判定の材料にはなりますが、実は「この数値を超えれば妊娠継続確定」といった明確な目安や定義はありません。ご相談者のぽこさんのようにホルモン補充を受けながらの胚盤胞移植ではさらに難しく、ｈCGの値が目安にならないこともしばしばあります。低いからといって妊娠継続の可能性がないわけではなく、高いから大丈夫ということでもありませんので、数値に一喜一憂することなく経過を見守っていただきたいですね。
ＢＴ12を過ぎてもｈCGの数値が上がらず、ＢＴ19以降も不規則的です。
申し上げたとおり、hCGの数値には大きな個人差がありますが、順調に伸びなかったり、イレギュラーな数値を示した場合の多くは、流産といった残念な結果につながるケースが少なくないのも否めません。ＢＴ19で胎囊が見えたとのことですが、この時点で6㎜は小さいかもしれません。だからといって、ぽこさんが残念な結果になるとは限らず、イレギュラーな経過をたどりながらも出産されるケースもまれにはあります。マニュアルどおりには進まないのが不妊治療ですから、インターネットで検索して似たような症例がなくても当然。余計な心配をして、ストレスを溜めることのないようにしてください。
移植した胚盤胞は４AAでした。
グレードのよい胚ですが、これも実は“見た目”による判断にすぎません。統計的に形のよいものほど妊娠率は高く、見た目がよいものほど移植に適していると考えられていますが、遺伝子レベルで移植に適しているかを調べたものではありません。胚の形がよくても、先天性異常をもっていた場合では育たないこともあります。ご年齢も38歳とのことですので、４AAでも楽観視はできません。
アドバイスがあればお願いします。
胎囊が見えたのですから、妊娠したということ。決して妊娠できない体質ではないので、希望をもってください。
出典：女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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