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卵を熟知している胚培養士の意見は治療の貴重な参考に【Focus!チーム医療】

コラム 不妊治療

卵を熟知している胚培養士の意見は治療の貴重な参考に【Focus!チーム医療】

患者さんの大切な検体をお預かりし、日夜、受精卵と真剣に向き合っている胚培養士。大島クリニックでは卵のスペシャリストである彼女たちを信頼し、その意見は受精方法の選択など治療方針にも大きく反映されています。

2019.9.26

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※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。


お話を伺った先生のご紹介

大島 隆史 先生(大島クリニック)


自治医科大学卒業。1982年、新潟大学医学部産科婦人科学教室入局。産婦人科医として3年間研修後、県内の地域病院の1人医長として4年間勤務。1992年、新潟大学医学部において医学博士号を授与される。新潟県立がんセンター新潟病院、新潟県立中央病院勤務を経て、1999年、大島クリニックを開設、院長に就任。

≫ 大島クリニック

1年目は先輩の厳しい指導で技術習得の鍛錬を


胚培養士は患者さまからお預かりした大切な卵子や精子、受精卵を扱う仕事。不妊治療において重要なポジションなので、技術を習得するために、ラボに入ったら一人前になれるよう精一杯努力をしてほしいと伝えています。
当院では新人はチーフではなく、すぐ上の先輩に指導させるようにしています。まだ新鮮な目線がありますし、指導することでその胚培養士に責任感も生まれる。みんな必死で頑張って、夜遅くまで手技などを練習しています。
培養については胚培養士を信頼し、医師はとにかくよい卵をつくることに集中。受精卵の成長過程を日夜観察しているのは胚培養士ですから、受精方法などに関しては彼女たちの意見を聞いて、ベストな形で治療をするようにしています。




Q1:培養士になったきっかけを聞かせてください。


実は私も妹も両親が受けた不妊治療により生まれました。小さな頃から母に不妊治療の大変さや、どのような技術で治療したのかを聞かされていて、その時、初めて胚培養士の存在を知りました。
また、小学生の頃から顕微鏡を覗くなど生物や科学への関心が高く、大学で胚培養士に関する具体的な内容を聞き、天職だと思って目指すことになりました。
胚培養士がいなかったら、私はこの世に生まれていなかったかもしれません。今は、母と同じように不妊に悩んでいる方のために尽力してお子さんに会わせてあげることが、この世に生を受けた私の使命だと思っています。


Q2:精子や胚を観察している時は、何をチェックしていますか。


精子は元気にまっすぐ動いているか、形が異常ではないか、胚は正常に受精しているか、また、どのように分割しているか、分割時間はどうかなど、細かく観察しています。
以前はタイミングをみて、受精卵を培養器から出して顕微鏡下で観察していましたが、その方法だと断片的にしか情報を得ることができませんでした。現在、当院ではタイムラプスを導入しているので、環境をよい状態に保ったまま、すべての過程を記録して観察することができます。胚培養士の経験や観察眼はもちろん、最新の優れた機器を取り入れることもラボにとって重要だと思います。


Q3:患者さまへのメッセージをお願いします。


ラボでは採卵後から、不妊治療の最終過程である移植直前まで担当させていただいています。ずっと受精卵の成長過程を見ていると、いつの間にか自分の子どものような感覚に。よい結果の時も、悪い結果の時も患者さまと同じ気持ちで寄り添い、作業に向き合っています。
胚培養士の鍛錬に終わりはなく、新しい治療の情報が届けばそれを精査、吸収。つねにベストな形で治療を行っています。
当院では患者さまと直接会ってお話しする機会はあまりないのですが、患者さま全員が笑顔で赤ちゃんを迎えられるように陰ながら全力でサポートしています。どうぞ安心してお任せください。




メッセージ
安全性にもこだわり質の高いラボに整備
クリーンルームにエアシャワーなど、本格的にラボを導入した時から、安全な環境作りにも考慮。タイムラプスなど最新の機器も積極的に導入し、より妊娠に近づく工夫をしています。

 


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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