【40代の不妊治療】採卵はたびたび行っても子宮に影響はないのですか?
コラム 不妊治療
【40代の不妊治療】採卵はたびたび行っても子宮に影響はないのですか?
膠原病という持病をもちながら、10年以上不妊治療を続けてきたものの、今後どう治療を進めていけばいいのか不安に。膠原病と不妊はどういう関係があるのか、また、採卵する際には子宮を休ませるべきか、蔵本ウイメンズクリニックの蔵本先生にお尋ねしました。
※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。
- ジュン大好きさん(41歳)からの相談
●不妊治療13年目。治療を続けたことで体に不安 - 年明けに採卵、胚移植を2度しました。年齢的なこともあるので早くやるべきなのでしょうが、次回6月末の診察で再度チャレンジしたい旨を伝えるつもりでいます。4月中旬にIVFを最後にしました。もともと14歳から膠原病を患っており、生理も薬での調整でしか起こりません。採卵するにはほぼ毎日の注射にも通いますが、少し期間をおいて子宮を休めるほうがいいでしょうか。すぐに行っても関係ないものですか?
- Doctor’s Advice
- ●膠原病でも妊娠は可能。
●採卵は子宮への影響はほとんどない。
●卵巣への負担が少ない低刺激法を。
ーー相談者は若い頃から全身性エリテマトーデス(SLE)の治療を続けておられるそうです。病と不妊の関係性はありますか。
SLEや関節リウマチに代表される膠原病は、女性患者が多いといわれる自己免疫疾患で、当院にもSLEとつきあいながら不妊治療を行っている方が一定数おられます。決して珍しい疾患ではなく、治療により病気が安定しているのであれば妊娠は可能だと考えます。
膠原病があれば妊娠しづらい状態になる可能性があります。たとえば治療にステロイドが大量に投与されるなど、薬の副作用が原因で妊娠に影響が及ぶことは考えられます。そのような持病をお持ちの方は、必ず主治医からの妊娠許可をもらってから不妊治療に取り組むことになります。当然、妊娠中にも内科の専門医を受診していただきます。
ーー子宮を休ませるべきかと、ご自身の婦人科機能について不安のようです。
エストロゲン製剤と経口黄体ホルモン剤を服用して生理を起こしているそうですが、この場合、相談者は無月経だと予想されます。現在41歳という年齢もふまえると、AMH値が低下し、FSH値も上昇し、卵巣機能が低下していると考えられます。子宮について不安をおもちのようですが、相談者が憂うべきは「卵巣」です。採卵を物理的に説明すると「卵胞に針を刺す」というシンプルなもので、よほどの問題がない限り、心配されているような子宮へのダメージはまずないと言っていいでしょう。
ーー採卵の期間、方法などアドバイスはありますか。
卵巣刺激で卵胞の発育を促すことで、採卵を行うことができます。成熟卵子が採取され、受精・胚発育が順調なら全胚凍結することが多いと思います。ただし、41歳というご年齢を考えると発育卵胞数は少ないと予想されます。卵巣内の卵子数が多いか少ないかを見るAMH値を測り、1 ng /ml以下であれば低刺激法で卵巣への負荷をできるだけ少なくする方法がよいでしょう。
卵巣も働きすぎるとバテるんです。発育できる卵胞数が5個以下と少ない方は高刺激を続けて薬剤に耐性ができると卵子が採れにくくなることもあります。1回で1つでも多くの卵子を採ろうとする高刺激より、採れる数は数個と少ないけれど1カ月おきで採卵でき、卵巣への負担が少ない低刺激で何度か挑戦するほうが、相談者の現状に合っているかもしれませんね。
そして内視鏡を使い、子宮内に妊娠を妨げるようなポリープがないか検査を行うことも重要です。
- 先生から
- AMHが低いなら体への負担が少ない低刺激法の選択も
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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