痛みを感じないけど産む感覚はあり 完全無痛分娩とは?
インタビュー 妊娠・出産
痛みを感じないけど産む感覚はあり 完全無痛分娩とは?
無痛分娩を選んでも結局痛かったという人は少なくないようです。「完全無痛分娩」について海老原 肇先生にお話を伺いました。
痛いお産を避けて無痛分娩を選んでも結局あまり痛みが減らなかったような気がする、無痛分娩にしたいが赤ちゃんを産む実感が得られないような気がして迷う、という方は少なくないようです。長年「完全無痛分娩」に取り組んでおられる新中野女性クリニック院長の海老原 肇先生にお話を伺いました。
痛みをとって感覚は残す「完全無痛分娩」とは?
皆さんは無痛分娩についてどのようなイメージをおもちでしょうか? インターネットなどでは「出産の実感がない」という経験談や、反対に「麻酔はしてもらったけれど、あまり痛みが変わらなかった」という感想も多かったりして、こうした口コミから無痛分娩を諦める人がいるとしたら非常に残念なことだと考えています。
当クリニックでは、現在扱っている分娩全体の7割程度が無痛分娩です。残り約3割の自然分娩は、この地域にお住まいで、地元で産みたいと希望される方のケースがほとんどです。
皆さんにどうしても無痛分娩にしたほうがいいです、とおすすめしているわけではありませんが、ありがたいことに評判を調べて、「無痛分娩で産みたいから」と来院される妊婦さんもいらっしゃいます。それだけ、無痛分娩ができる施設がまだ少なく、「無痛分娩にしてよかった」と感じた方も少ないということが大きいようです。
私が無痛分娩を行う際には、「痛みをとって感覚は残す」ことができるようにしています。約20年前にこれを可能にする麻酔薬ができたことで、無痛分娩を手掛けていきたいと考えるようになりました。
昔は下半身の感覚がまったくなくなる麻酔をかけて出産していたため、産んだ感じがしなかったという感想も多かったと思いますが、今は、出産時の痛みだけを取り除いて感覚を残しているので、お母さんは赤ちゃんが産道を降りてきて、生まれる感覚をしっかり味わうことができます。皮肉なことに、自然分娩では痛みが強すぎて、赤ちゃんがどこをどう通っていつ生まれたかがはっきりわからない場合も多いのです。
痛みがなく感覚がある状態とは?
「完全無痛分娩」の大きなメリットは2つ
無痛分娩は簡単で難しい
海老原先生より まとめ
無痛分娩への不安や不満の口コミから、痛みのないお産を諦めてしまうのはとてももったいないと思います。妊娠・出産はけっして強制されるようなものではありませんが、痛みへの恐怖から子どもをもつことを避けている方、1人産んで痛いお産はもう嫌だと思っている方にとって、安心して出産を迎えるための手段として「完全無痛分娩」が役立つことを願っています。