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【Q&A】 抗セントロメア抗体陽性。おすすめの治療法は?ー浅田先生

専門医Q&A 不妊治療

【Q&A】 抗セントロメア抗体陽性。おすすめの治療法は?ー浅田先生

3年前に自然妊娠で出産。昨年妊娠しましたが、出産にはいたらず、抗セントロメア抗体が640倍の陽性でした。今後の治療方針は?浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお答えいただきました。

2019.10.9

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相談者:haruyoさん(41歳)



お世話になります。ご相談させてください。顕微授精で治療中です。
夫39歳、妻41歳です。2016年8月(妻38歳)に自然妊娠で出産。2018年8月(妻40歳)に妊娠はしましたが、出産にはいたりませんでした。
今はできるだけ胚盤胞を貯めたいと思っています。

今年に入って多核受精が多く見られたため検査を受けたところ、抗セントロメア抗体640倍という陽性反応が出ました。また、慢性甲状腺炎のためチラージンを服用しています。
3回採卵を行っており、アンタゴニスト法、中刺激のアンタゴニスト法(どちらもプロゲストンのみ。アンタゴニスト不使用)、ショート法で、約14個ずつほど採卵できましたが、毎回胚盤胞になるのは1個だけです。

①セントロメア抗体に対して、プレドニンを服用する以外に、何かよいとされる治療法はあるのでしょうか?医師にはセントロメア抗体陽性の場合、採卵数は多い方が良いとの説明がありました。

②ショート法でOHSSになりました。どのような治療法をおすすめされますか?

③採卵の時期ですが、採卵後2回目の生理か、3回目の生理どちらがいいでしょうか?
私自身は41歳の年齢を考えると1ヶ月でも早い方がという気持ちと、卵巣を休ませた方がいい結果につながるのではという気持ちがあり、決心がつきません。



抗セントロメア抗体ついて。




慢性甲状腺炎のためチラージンを服用されており、また抗セントロメア抗体が640倍の陽性で多核の受精が多く見られるということですが、当院では抗セントロメア抗体の研究を10年以上前より行っており、抗セントロメア抗体が早い段階で血清を通じて卵子の中に入り込んでいる、ということを確認しています。
また、セントロメアは細胞分裂の際に紡錘体と結合する働きをしますが、抗セントロメア抗体が高値になると、卵子の段階で染色体がバラバラになっていることも確認をしています。


 


①医師にはセントロメア抗体陽性の場合、採卵数は多い方が良いとの説明がありました。プレドニンを服用する以外に、何かよいとされる治療法はあるのでしょうか?


プレドニン等のステロイド剤を使用して抗体を抑えたとしても、効果はありません。私の施設も色々試しましたが、卵子は半年前から育っているため、卵の中に入った抗セントロメア抗体をステロイドで抑えようとすることには無理があります。

そのため、戦略としては出来るだけ多くの成熟卵を採り、異常受精卵もありますが、その中から正常受精卵を得ることができれば、それは抗セントロメア抗体の少ない受精卵で年齢相応の妊娠率を得ることができます。効率は悪いですが、これが妊娠への近道だと考えます。


 


②ショート法でOHSSになりました。


ショート法でOHSSになられた、ということですが、hCGを使用しないアンタゴニスト法でアゴニストトリガーという方法で刺激を行えばOHSSは起きません。低刺激、中刺激、高刺激のどれがよいのか?という議論はあまり意味のないことです。
半年前から育ち始めた卵子から成熟卵をできるだけ多く採り、その中で正常に受精した胚を移殖することが一番の戦略ですから、適切な調節卵巣刺激を行い、できるだけ多くの成熟卵を得ることが大切です。
卵子は半年前から育っていますので、それをいかに有効に使用するかが重要であり、卵子が少なくても低刺激を行えば質の良い卵子になる、というわけでもありません。卵子の獲得率が減るだけです。


 


③採卵の時期は、採卵後2回目の生理か、3回目の生理のどちらがいいでしょうか?


卵巣を休ませた方がいいのでは、ということでしたが、それは意味のないことだと思います。卵子は生まれる前にできたものが一定の割合で育ちはじめるものであり、新しく作られるものではありません。
また、卵巣を休ませたからといって、質の良い卵子ができることはありません。どの卵子も6ヶ月前から育っており、後半の3ヶ月はホルモン依存で、ホルモンの状態でよく育つようになります。高齢になると成熟卵が得にくくなるというのは、ホルモンの状態が悪くなるからです。
ですから治療を休んでも、卵子が育つ後半の3ヶ月はホルモンに依存して卵胞が育ちますので、治療を休めば次の周期にかえって悪影響があります。刺激を適切に続けることが成熟卵を得る一番の戦略だと思います。そのため、治療を休むことは成熟卵を得るということに対して逆効果であると思います。

以上を念頭において、今後の治療について考えられたらいかがでしょうか。クリニックにより治療方針や培養の技術、顕微授精の技術は異なります。結果がでない時には転院をされることも大切な選択肢のひとつだと思います。


 



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お話を伺った先生のご紹介

浅田 義正 先生


名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の勝川、名古屋駅前のほか、昨年5月には東京・品川駅前にもクリニックを開院。

≫ 浅田レディースクリニック

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