経血量が多く月経過多かも。不妊にかかわるの?
コラム 不妊治療
経血量が多く月経過多かも。不妊にかかわるの?
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※2019年11月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.44 2019 Winter」の記事です。
- ナナこさん(27歳)からの相談
▶生理の経血量が多く不安です - 妊活を始めて4カ月です。先日、知人に妊活のことを相談していたのですが、その際、「生理の経血量が多いと妊娠しにくいよ」といわれました。私はたしかに、昔から生理時にレバー状のものが出たりと経血量が多めで、生理痛もひどいほうだと思います。相談した知人も私と似たような体質らしく、なかなか妊娠しなかった(3年はかかった)といわれました。そのため正直とても不安です。今月、もし妊娠しなかったらクリニックで検査しようと思っています。
- まとめ
- ●月経過多は貧血のある·なしで概ね客観的に判断します。
●気になる生理の変化が続いたら、病気が隠れていないか婦人科で検査を。
月経過多と疑われる判断基準を教えてください。
まず正常な生理は生理周期が25~38日、経血量が20~140ml、期間が10日以内です。日本産科婦人科学会の定義では、月経過多は1回の生理の出血量が140ml以上とされます。実際には、経血量を計測することは難しいかと思います。多くの人は細かい経血量がわからないので、症状に気づかない場合もあります。人より量が多いか不安になったりすることもあるでしょう。
目安として一番経血量が多い日にナプキンが30分ともたない、昼でも夜用ナプキンを使う日が3日以上続く、経血のレバーのような大きな塊が混じっているなどがあれば月経過多を疑います。
客観的には貧血の検査を行い、ほかに内科的原因のない貧血は月経過多と判断をします。
月経過多は妊娠しにくいのでしょうか?
生理は女性のホルモンの変化や子宮の状態を掴むバロメーターです。そのため、経血量の変化や生理痛の有無、基礎体温をチェックしておくと、不妊の原因となる病気の早期発見にもつながります。
月経過多による貧血の原因に、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患が隠れている場合があります。子宮内膜症は卵巣やダグラス窩、子宮外で起こります。なかでも多いのが卵巣です。生理のたびに出血するようになり、放っておくと血液が卵巣内にたまってしまい、卵巣本来の働きをすることができなくなり、排卵障害を起こします。こういった病気を放置してしまうと、赤ちゃんを欲しいと願う方にとって大きな障害になります。
月経過多の原因はさまざまあり、年齢によっても変わります。若いうちはまだホルモンバランスが安定しないため、無排卵周期や黄体機能不全などにより出血を生じ、その結果として月経過多を起こしている場合があります。とはいえ、不妊の原因になる婦人科疾患が原因で月経過多となっている場合もあるので、気になる症状があればできるだけ早めに婦人科で医師に相談しましょう。
最後にナナさんにアドバイスをお願いします。
慢性的な月経過多だと、その状態に慣れてしまって体の異常に気づかない場合もあります。経血量の変化や量については、自己判断が難しいと思われます。もし、普段から立ちくらみやめまいがあり、動悸や息切れをおこしやすく、疲れやすい、体がだるいなどの症状があれば貧血が疑われます。これまで血液検査の結果で、血液中の鉄が少ないと指摘された経験があれば、注意が必要です。不妊にかかわらず、何らかの疾患が原因で月経過多になっている場合、早期発見と早期治療が大切です。
普段と比べて経血量が多い、期間が長いなど気になることがあれば早めに婦人科を受診し、検査することをおすすめします。
がAMH。この数値で治療のプランが変わりますので、必ず受けてください。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.44 2019 Winter
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