3年前に帝王切開で双子を出産。今後の不妊治療はどうすれば?【40代の不妊治療】
コラム 不妊治療
3年前に帝王切開で双子を出産。今後の不妊治療はどうすれば?【40代の不妊治療】
初めての不妊治療が何の問題もなく進んだ人ほど、2回目の治療がスムーズに行かないと悩んでしまうことも多いようです。2人目不妊の治療で考えるべきポイントについて、英ウィメンズクリニックの片山先生にお話をお聞きしました。
※2019年11月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.44 2019 Winter」の記事です。
- Lichtさん(41歳)からの相談
●治療の進め方について - 帝王切開で双子を出産した後の2人目不妊です。前回は体外受精と顕微授精にて受精した受精卵を2つ戻し、無事妊娠・出産できました。今回は新鮮胚移植、胚盤胞移植、凍結胚盤胞移植、と3回ARTを施行しましたが、化学流産してしまいました。いずれも尿検査での妊娠反応はなく、血液検査でhCG反応はあるものの上昇せず、でした。帝王切開後は妊娠しにくいと聞きますが、着床はしているようなので卵子の育ちが悪いと自己解釈しています。採卵がいつも1~2個と少なめなのも気になります。治療再開4年目になりますが、今後も体外受精を繰り返すしかないのでしょうか。また、不育症の可能性も考えたほうがよいのでしょうか。
- まとめ
- ●年齢が重なると妊娠しづらいことも。
●まずはAMH検査で卵子の現状把握を。
●治療を続けるなら体重と体調の管理を。
ーー2回目の不妊治療で、なかなか結果が出ず、不安になられているようです。
前回は治療を始めてすぐに妊娠できたこともあり、今回はいら立ちが感じられるのかもしれませんね。
前回と今回で確実に違うのは「年齢」です。前回は30代前半での不妊治療でした。あくまでも平均値ですが、妊娠率は35歳を境に下がっていきます。年齢を重ねるほど妊娠しにくくなることを、まずは認識しておきましょう。
ーー3回の体外受精とも着床はしているものの、その後化学流産しています。
妊娠すると、尿や血液中のhCGというホルモンが一気に増えるため、その数値で妊娠と判定されます。血液のほうがより低い数値から反応するので、「尿では反応せず血液では反応する」こともよくあります。
着床できているのに、通常の妊娠に移行しない場合を化学流産、もしくは生化学妊娠といいます。化学流産の原因で最も多いのが受精卵の染色体異常で、早い時期の流産となります。この染色体異常の割合が、20~30代でも30%、40代ともなると70%、45歳を超えると90%と、年齢とともに高くなっていきます。この方の年齢なら、化学流産が3回続いているのも予想の範囲内と言えます。
ーー排卵誘発法が、前回はアンタゴニスト法で今回は、クロミッドⓇとスプレキュアⓇ。また帝王切開の影響はあるのでしょうか。
排卵誘発法の違いは年齢が上がったことによる一般的な変更であり、特に問題はないと思います。また、ご自分でも理解されている通り、着床しているので帝王切開による影響もないでしょうね。
ーー不育症も視野に入れるべきか、とお悩みです。その点はいかがですか?
不育症は、子宮形態異常や甲状腺異常、抗リン脂質抗体症候群などが原因で起こります。この方の場合は、いったんは双子を出産されているので、不育症の可能性はあまり考えなくてもいいのではないでしょうか。
ーー採卵できる数が少ないこともあり、今後の治療に不安をおもちです。
まずは客観的に判断する材料を揃えてみることをおすすめします。AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査をすれば、残っている卵子の数を確認できます。年齢による妊娠率の差も理解し、今の状況を冷静に見つめたうえで判断されるのがいいと思います。この方の場合、すでに双子をご出産されていますし、ここで諦めるのも一つの選択肢かもしれません。体外受精を続けてみようというお気持ちなら、やや肥満ぎみの体重を抑えることと、基本的な体調を整えることを頑張ってみてはいかがでしょうか。
- 先生から
- AMH値や年齢による妊娠率など、
今の状況を見つめて客観的な判断を
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.44 2019 Winter
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