「直腸腟ろう」ってどんな病気?原因と対処法について
インタビュー 女性の健康
「直腸腟ろう」ってどんな病気?原因と対処法について
「直腸腟ろう」とはどんな病気でしょうか。出産が原因でなることもあるというこの病気について、多和田レディースクリニック院長の多和田哲雄先生に伺いました。
出産や手術が原因で腟と直腸がつながってしまう病気
「直腸腟ろう」とは、腟とその隣にある直腸が、炎症などによってあいた穴(瘻孔)を通じてつながってしまう病気です。
出産が原因で引き起こされることが多く、なかでも鉗子分娩や吸引分娩など難産で分娩時間が長引いた時に起こりやすいといわれています。
出産以外では、子宮内膜症や子宮ガン、直腸ガンなどの手術に際し、腟と直腸の癒着部分をはがそうとした時に穴があいてしまうことで発症することがあります。
腟からおならのような悪臭や便が出てしまう
「直腸腟ろう」になると、腟からおならのような臭いがしたり、便が出てくるようになります。時には便で下着を汚してしまうケースも。
本人も不快感が強いため、この時点で「おかしいな」と受診するケースが多いのですが、「他の人に相談しづらい」、「何科を受診したらいいかわからない」という理由から何も治療しないまま時間が経過してしまうこともあります。
放置してしまった場合、さらに穴が大きくなり、直腸や腟への炎症が広がり癒着を引き起こす可能性も少なくありません。また、常に下腹部あたりに痛みを感じるようになるケースもあります。
診断方法は造影剤を流し、穴の有無を確認
手術方法は複数あり、再発しづらい術式も
穴が大きい場合、まず人工肛門をつけて直腸と腟の炎症を鎮めてから手術を行うこともあります。
手術方法は複数あります。従来は「腟式直腸腟瘻閉鎖」といって、腟を切開して穴のあいたところをふさぎ、腟を縫い合わせるという方法が取られていましたが、再発が多いためこの方法はあまり行われなくなりました。
最近では再発しづらい「薄筋筋皮弁」という方法と「直腸移動弁修復術」で手術するケースが多く見られます。
「薄筋筋皮弁」とは、腟側から穴をふさぎ、その部分(後腟壁)に補強として太ももの筋肉を移植する方法です。
「直腸移動弁修復術」は、直腸の粘膜を完全に切り離すのではなく、上部を少しだけカットします。カットした粘膜を引っ張り、穴のあいた部分にあててふさぎます。
こうした根治術は主に直腸・肛門外科で施行します。
どの手術方法がいいかは穴のあいた位置や年齢などによっても異なるので、手術をする際には医師に相談してみましょう。