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「直腸腟ろう」ってどんな病気?原因と対処法について

インタビュー 女性の健康

「直腸腟ろう」ってどんな病気?原因と対処法について

「直腸腟ろう」とはどんな病気でしょうか。出産が原因でなることもあるというこの病気について、多和田レディースクリニック院長の多和田哲雄先生に伺いました。

2020.1.31

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出産や手術が原因で腟と直腸がつながってしまう病気




「直腸腟ろう」とは、腟とその隣にある直腸が、炎症などによってあいた穴(瘻孔)を通じてつながってしまう病気です。

出産が原因で引き起こされることが多く、なかでも鉗子分娩や吸引分娩など難産で分娩時間が長引いた時に起こりやすいといわれています。

出産以外では、子宮内膜症や子宮ガン、直腸ガンなどの手術に際し、腟と直腸の癒着部分をはがそうとした時に穴があいてしまうことで発症することがあります。


 


腟からおならのような悪臭や便が出てしまう


「直腸腟ろう」になると、腟からおならのような臭いがしたり、便が出てくるようになります。時には便で下着を汚してしまうケースも。

本人も不快感が強いため、この時点で「おかしいな」と受診するケースが多いのですが、「他の人に相談しづらい」、「何科を受診したらいいかわからない」という理由から何も治療しないまま時間が経過してしまうこともあります。

放置してしまった場合、さらに穴が大きくなり、直腸や腟への炎症が広がり癒着を引き起こす可能性も少なくありません。また、常に下腹部あたりに痛みを感じるようになるケースもあります。


 


診断方法は造影剤を流し、穴の有無を確認


通常はまず肛門から造影剤を流し、穴(瘻孔)を通って腟に流れこんでいないかを確認して診断をします。

分娩直後の場合は、直腸から指を入れて穴があいていないかを確認します。あいている場合はその場で麻酔をかけて肛門、腟を縫って処置します。

穴が小さい場合は、自然治癒する場合もあります。ただし穴が大きい、直腸や腟などの炎症がひどい場合は手術が必要になります。


 


手術方法は複数あり、再発しづらい術式も


穴が大きい場合、まず人工肛門をつけて直腸と腟の炎症を鎮めてから手術を行うこともあります。

手術方法は複数あります。従来は「腟式直腸腟瘻閉鎖」といって、腟を切開して穴のあいたところをふさぎ、腟を縫い合わせるという方法が取られていましたが、再発が多いためこの方法はあまり行われなくなりました。

最近では再発しづらい「薄筋筋皮弁」という方法と「直腸移動弁修復術」で手術するケースが多く見られます。
「薄筋筋皮弁」とは、腟側から穴をふさぎ、その部分(後腟壁)に補強として太ももの筋肉を移植する方法です。
「直腸移動弁修復術」は、直腸の粘膜を完全に切り離すのではなく、上部を少しだけカットします。カットした粘膜を引っ張り、穴のあいた部分にあててふさぎます。

こうした根治術は主に直腸・肛門外科で施行します。
どの手術方法がいいかは穴のあいた位置や年齢などによっても異なるので、手術をする際には医師に相談してみましょう。


 


「おかしい」と思ったらまずは婦人科へ


「もしかして直腸腟ろうかも…」、「最近、下着を汚すことが多い」と感じたら、一人で悩まずにとりあえずは早めに婦人科へ相談してみてください。
まず婦人科の医師が診察し、必要がある場合は外科や泌尿器科などの専門科目へ紹介してくれます。


 


お話を伺った先生のご紹介

多和田哲雄先生(多和田レディースクリニック 院長)


日本産科婦人科学会専門医、日本産婦人科乳腺医学会認定医、検診マンモグラフィー読影認定医。
順天堂大学医学部を卒業後、順天堂大学医学部産婦人科学教室に入局。その後、国際親善総合病院副院長を経て、2010年に多和田レディースクリニックを開院。妊婦さんの定期健診から骨盤臓器脱や子宮脱に悩む患者さんまで年齢を問わず女性全般の健康についてわかりやすくアドバイスしてくれる。
プライベートではジャズサックスを演奏。現在、プロのサックス奏者につきながら腕を磨く。

≫ 多和田レディースクリニック

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